総合労働相談件数の相談内容は「いじめ・嫌がらせ」が「解雇」を超え、最多に
労働関係についての個々の労働者と事業主との間の紛争を円滑に解決するための「個別労働紛争解決制度」は、平成13年10月の法律施行から今年で12年を迎えます。これに関連し、先日、厚生労働省は「平成24年度個別労働紛争解決制度施行状況」をまとめ、公表しました。
平成24年度の相談、助言・指導、あっせんの概況を見ると以下のようになっています。
総合労働相談件数 1,067,210件(前年度比△3.8%)
・うち民事上の個別労働紛争相談件数 254,719件(前年度比△0.6%)
・助言・指導申出件数 10,363件(前年度比8.1%増)
・あっせん申請件数 6,047件(前年度比△7.1%)
総合労働相談件数は、5年連続で100万件を超えており、民事上の個別労働紛争に係る相談件数は、高止まりしている。、
「いじめ・嫌がらせ」に関する相談は、増加傾向にあり、51,670件。民事上の個別労働紛争相談の中で最多。
助言・指導申出件数が過去最多
・助言・指導申出件数は、制度施行以来増加傾向にあり、初めて1万件を超えた。
・あっせん申請件数はやや減少した。
このうち、もっとも注目を集めているのが、相談の内容ですが、前述したとおり、「いじめ・嫌がらせ」が初めて「解雇」を抜き、最多となりました。具体的な相談件数および前年度比は以下のとおりとなっています。
いじめ・嫌がらせ 51,670件(+12.5%)
解雇 51,515件(△10.9%)
労働条件の引き下げ 33,955件(△7.9%)
退職勧奨 25,838件(△3.7%)
このように全体の相談件数が減少する中で、「いじめ・嫌がらせ」だけが増加しています。更に「いじめ・嫌がらせ」は3年連続で二桁増となっており、いまや労働トラブルの中心となっていると行っても過言ではありません。職場でのハラスメントは企業風土の悪化の原因となり、更にはメンタルヘルス不調の問題にも繋がります。ハラスメントを防止する体制の構築や社員教育を進める必要性が高まっています。
また紛争の当事者である労働者の就労形態を見ると、以下のようになっています。平成14年の同調査では正社員の割合が53.6%であったことを考えると、雇用形態の多様化によりいわゆる非正規従業員のトラブルが増加していることが分かります。今後の労務管理においては、このあたりも注意しておきたいところです。
正社員 101,472件(39.8%)
パート・アルバイト 42,309件(16.6%)
期間契約社員 27,094件(10.6%)
派遣労働者 10,827件(4.3%)
その他・不明 73,017件(28.7%)
参考リンク
厚生労働省「平成24年度個別労働紛争解決制度施行状況」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r985200000339uj.html
(大津章敬)
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