中国人事管理の先を読む!第60回「労働の市場価値」
「労働の市場価値」と書きますと、マルクス経済の「労働者と資本家」というイメージや、ケインズ経済学の「有効需要」を想起させてしまい、何だか古い言い回しのように感じられるかもしれませんが、それでもやはり労働は価値だなあと、最近つくづく思ってしまいます。
労働の市場価値を表すのが「賃金」ですね。いま、みなさんの会社の従業員の賃金は市場価値(価格)と比較してみると、果たして適正だと思いますか?「うちの給与は安いかもしれないな」と考える企業が少なくないのではないでしょうか。そのような中でも時々、「うちの給与は高いんですよ」という企業があります。なるほど、その中身を見てみますと確かに高い。しかし、給与が高いことが決して良いという訳ではありませんね。当然、会社の利益を圧迫してしまいます。また、そのような企業は賃金水準が全体的に高かったりします。つまり、高い中で個々の従業員、すなわち労働の価値に対してメリハリが効いていないのです。
よく、「従業員の退職を止める方法はないでしょうか?」という質問を受けることがありますが、そのような魔法の杖があれば誰も苦労はしないでしょう。福利厚生の充実や責任の委譲、従業員のモチベーション等々、いろいろ言われますけど、最後はやはり給与、これしかないと思うんですね。この考えに対してはおそらく賛否あるかもしれませんが、いままでいろいろな企業の状況を見てきた中で、最後は給料で引き止めるしかないのだろうなとつくづく感じています。理想的な考えかもしれませんが、結局、他社に移れない、あるいは移っても本人にはメリットがないくらい十分な賃金を出しているかということが、従業員を引き留める最後の方法ではないかと思います。
そのように考えますと、どうしても自分の会社の賃金水準が「労働の市場価値」と比較してどうか、ということをつぶさに見ていくしかないんですね。もうひとつは、「いま、この社員に辞められたら、果たして同じ給与で新しい人材を採用できるだろうか」ということを考えるのも、賃金水準について考えるにはよい切り口だと思います。これを突き詰めていくと、まず個々の労働(=仕事)の市場価値と自社の給与水準との比較、もうひとつは労働間(=仕事間)での賃金水準のメリハリ、この2つが賃金を考える際の重要なポイントになってくるように思います。
参考リンク
ビジネスフリーペーパー「Bizpresso」概要
http://bizpresso.net/about
(清原学)
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