年次有給休暇の算定基礎となる全労働日の取扱いが変更に

年次有給休暇の算定基礎となる全労働日の取扱いが変更に 労働基準法第39条で定められている年次有給休暇(以下、「年休」という)は、全労働日の8割以上出勤した労働者に付与されることとなっています。この「全労働日」とはどのような日を指すのか、具体的な内容は通達により解釈が示されていますが、今回、この通達の一部が変更になりましたので、本日はその内容について取り上げておきましょう。

【出勤率の基礎となる全労働日】
 以下のの一部が削除され、新たにおよびが加えられました。
年次有給休暇算定の基礎となる全労働日の日数は就業規則その他によって定められた所定休日を除いた日をいい、各労働者の職種が異なること等により異なることもあり得る。したがって、所定の休日に労働させた場合には、その日は、全労働日に含まれないものである。
労働者の責に帰すべき事由によるとはいえない不就労日は、3.に該当する場合を除き、出勤率の算定に当たっては、出勤日数に算入すべきものとして全労働日に含まれるものとする。例えば、裁判所の判決により解雇が無効と確定した場合や、労働委員会による救済命令を受けて会社が解雇の取消しを行った場合の解雇日から復職日までの不就労日のように、労働者が使用者から正当な理由なく就労を拒まれたために就労することができなかった日が考えられる。
労働者の責に帰すべき事由によるとはいえない不就労日であっても、次に掲げる日のように、当事者間の衡平等の観点から出勤日数に算入するのが相当でないものは、全労働日に含まれないものとする。
(1)不可抗力による休業日
(2)使用者側に起因する経営、管理上の障害による休業日
(3)正当な同盟罷業その他正当な争議行為により労務の提供が全くなされなかった日

 なお、上記の取扱い変更に伴い、「全労働日が零となる場合の年次有給休暇」は削除されています。

 今回は最高裁判決で、解雇が無効となった後の年休請求に関する判断が出されたことによる変更となっています。このような案件が頻繁に出るとは限りませんが、押さえておきたい内容でしょう。


参考リンク
法令等データベース「年次有給休暇算定の基礎となる全労働日の取扱いについて(平成25年7月10日基発0710第3号)」
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T130718K0010.pdf

(宮武貴美)

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