34.7%が個人ごとに異なる決め方をすると回答した60歳代前半層の賃金

34.7%が個人ごとに異なると回答した60歳代前半層の賃金 先日、産労総合研究所より、「2013年 中高齢層の賃金・処遇に関する調査」が発表されました。この調査は、60歳(定年)の前後を通じての賃金・処遇の実態を明らかにすることを目的に行われたもので、今後、60歳以降の賃金制度設計を見直す企業等の参考になる内容になっています。

 この調査は、7つの項目にまとめられており、その中には「60歳代前半層の賃金の決め方」と「60歳代前半層の賃金決定と年金・給付金の受給」というものがあります。60歳以降は公的年金の支給が開始となり、一方で、在職老齢年金制度により給与の額によっては年金が減額されるため、設定に悩む企業は多くあるようですので、この調査結果を紹介しておきましょう。

 まず「60歳代前半層の賃金の決め方」については、「個人ごとに異なる」34.7%に対し、「一律に定年時賃金の一定率を減額」28.8%、「一律定額制」18.6%という結果になっています。何を基準に賃金を決めているかについては、「仕事内容」52.6%、「役割」40.9%、「能力」38.7%などという結果が出ています。

 次に、「60歳代前半層の賃金決定と年金・給付金の受給」については、「公的給付金の受給は前提としない」企業が44.5%となっており、特に大企業・中堅企業では5割以上がそのよう回答しています。年金については、過去の保険料納付状況によっても異なり、本来であれば個人的なものであることから、給与額の参考にするべきものではないのかも知れません。ただし、前述の在職老齢年金との兼ね合いから、参考にする企業は現実には多く見られます。

 今年の4月に高年齢者雇用安定法が改正され、実質65歳定年時代が到来します。先日、NTTが新賃金制度で労使合意したという報道もありましたが、今後、現役世代の賃金制度も含め、高年齢者雇用に起因し様々な制度改定が検討されていくことは確実です。


参考リンク
産労総合研究所「2013年 中高齢層の賃金・処遇に関する調査」
http://www.e-sanro.net/sri/news/pr_1308/

(宮武貴美)
http://blog.livedoor.jp/miyataketakami/

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