労働時間法制見直しなど、規制改革会議が示した雇用関連6分野の検討項目
政権も変わり、様々な政策分野で大きな方針変更が予想されますが、政府の規制改革会議は先週(2013年年9月12日)に第15回規制改革会議を開き、「健康・医療」「創業・IT」「農業」そして「雇用」という分野ごとのワーキンググループで検討する規制緩和の検討項目(案)を示しました。
このうち、注目の雇用分野については以下の項目が示されています。
雇用ワーキング・グループの検討項目(案)
「人が動く」ように雇用の多様性、柔軟性を高める政策を展開し、女性にも男性にも働きやすい「失業なき円滑な労働移動」を実現させていくという視点から、必要な規制改革を推し進める。
◎労働時間法制等の見直し
個々の労働者のライフスタイルに合わせた多様で柔軟な働き方を実現するために労働時間の規制改革が必要ではないか。具体的には、企画業務型裁量労働制やフレックスタイム制を始め、時間外労働の補償の在り方、労働時間規制に関する各種適用除外と裁量労働制の整理統合等、労働時間法制全般について見直すべきではないか。
◎ジョブ型正社員の雇用ルールの整備
重点フォローアップの中で、さらに議論を掘り下げる必要がある。特に、職務等限定型正社員(専門性を活かしたプロ型正社員や勤務地又は労働時間を限定した正社員)も働きやすくなるように、労働契約や就業規則における内容の明確化、無限定社員との間の均衡処遇、人事処遇全般の在り方に関するルールの確認・整備を行う必要があるのではないか。
◎労働者派遣制度の見直し
重点フォローアップの中で、さらに議論を掘り下げる必要がある。特に、「常用代替防止」のために派遣労働を「臨時的・一時的な業務」、「専門業務」、「特別の雇用管理を要する業務」に限定するという規制体系、規制手法を抜本的に見直し、派遣形態を望む労働者が働きやすくなるように、できる限り簡素で分かりやすい仕組みに改めるべきでないか。
有料職業紹介事業等の規制改革
転職等を通じて労働者の活躍の場を広げ、円滑な労働移動を支える観点から、有料職業紹介事業やその他労働者移動支援等に関する必要な見直しを行うべきではないか。
労使双方が納得する雇用終了の在り方
労使双方が納得する在り方の観点から、判決で解雇無効とされた場合における労働者の救済の多様化に向けた環境の整備を行うべきではないか。
研究者等の有期労働契約に係る環境整備
研究者等の有期労働契約の労働者については、改正労働契約法の施行により労働契約期間が5年に達する前に雇止めされる場合があるとの指摘があり、労働契約期間に係る見直しを行うべきではないか。
中でも◎の項目は、検討項目に関連する法律案の国会提出予定時期や政府全体のプラン等の策定予定時期等を勘案し、各ワーキング・グループにおいて、おおむね今年度内に検討結果をまとめることが予定されています。いずれも人事労務管理に大きな影響を与える内容ですので、今後の議論について注目したいところです。
参考リンク
内閣府「規制改革会議(平成25年9月12日) 議事次第」
http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/meeting/2013/committee2/130912/agenda.html
(大津章敬)
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