中国人事管理の先を読む!第67回「高温手当の支給と金額」

中国人事管理の先を読む!第67回「高温手当の支給と金額」 中国は今夏、例年にない暑さに見舞われました。日本では熱中症で救急輸送される方が、例年の患者数を上回る状況のようです。中国では熱中症という症状への認知は日本に比べ希薄なものかもしれませんが、この暑さの中、おそらく街頭で倒れ、病院に担ぎ込まれる方は相当数に上っているのではないでしょうか。

 そのような中、中国では毎年6月から9月までの4カ月間、常時33度(33度を含まない)を超える気温下で作業を行う従業員に対しては高温手当の支給が義務付けられています。今年は連日35度をゆうに超えていますので、機械や熱処理設備が稼働している構内作業となれば、高温手当支給の対象となることは想像に難くありません。

 このような作業下における高温手当の支給は法律で定められていますので、企業はその義務を負うわけですが、これだけ連日気温が上がれば暑いのはどの従業員も同じことですね。そのため、終始その作業に携わっているわけではないけれど、一日に何回も現場に足を運ばなければならない従業員や、営業のような外勤の従業員からは、やはり自分たちにも高温手当を支給してほしいという声が上がってくることは十分に考えられます。

 さて、夏になると顔を出してくるこの高温手当ですが、いったいいくら支払えばよいのでしょう?法定では1カ月200元ということになっています。しかし、この1カ月の中には33度を下回る日もあるかもしれない訳です(今年に限って言えば、それすら可能性としては低いかもしれませんが)。33度を切っている日があるのにもかかわらず、ひと月200元を支払わなければならないのか、という疑問が生じるかもしれません。

 法律には書かれておりませんが、労働当局の見解や事例を紐解いていきますと、実は1日当たりの支払いで構わないという答えが浮上してくるのです。この200元を法定であるひと月当たりの日数21.75日で割った金額、つまり9.2元が1日当たりの高温手当になるのですが、この金額に基づき33度を超えた日数分だけ支払えばよいという運用実施上の措置があります。

 このように中国では、法律で定められていない具体的な運用ルールも実は存在していますので、その点は要注意です。高温手当を支給する場合も、法律の根拠に準じていることや支給の対象者を明確にしたうえ、社内通知し、対処するべきだと思います。


参考リンク
ビジネスフリーペーパー「Bizpresso」概要
http://bizpresso.net/about

(清原学)
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