ワーキングホリデー中の外国人を雇用する際の注意点

wh 最近、ワーキングホリデー中の外国人を雇用するというケースが増えています。そこで今回から数回に亘って、ワーキングホリデー中の外国人を雇用する際の注意点について解説していくことにします。
ワーキングホリデー制度とは
 そもそもワーキングホリデー制度とは、二つの国・地域間の取り決め等に基づき、各々の国・地域が、相手国・地域の青少年に対して、自国・地域の文化や一般的な生活様式を理解する機会を提供するため、自国・地域において一定期間の休暇を過ごす活動とその間の滞在費を補うための就労を相互に認める制度です。

日本のワーキングホリデー制度と査証発給要件
 日本のワーキングホリデー制度は、1980年にオーストラリアとの間で始まり、現在では、ニュージーランド、カナダ、韓国、フランス、ドイツ、イギリス、アイルランド、デンマーク、台湾、香港、ノルウェーの12か国との間で開始されています。日本および上記の相手国・地域の政府または当局は、いずれも概ね次の要件を満たす他方の国民・住民に対し、ワーキングホリデーのための一次入国査証を発給しています。
(1)相手国・地域に居住する相手国・地域の国民・住民であること。
(2)一定期間相手国・地域において主として休暇を過ごす意図を有すること。
(3)査証申請時の年齢が18歳以上30歳以下であること(韓国及びアイルランドとの間では18歳以上25歳以下。各々の政府当局が認める場合は30歳まで申請可能)。
(4)子を同伴しないこと。
(5)有効な旅券と帰りの切符(または切符を購入するための資金)を所持すること。
(6)滞在の当初の期間に生計を維持するために必要な資金を所持すること。
(7)健康であること。
(8)以前に本制度を利用したことがないこと。

在留資格と指定書の確認
 日本での就労が認められている在留資格には、「投資・経営」「人文知識・国際業務」などさまざまなものがあり、ワーキングホリデーは在留資格の「特定活動」に該当します。この「特定活動」は、法務大臣が個々の外国人について、特に指定する活動を認めるもので、対象となる外国人にはその活動を記載した「指定書」が交付されています。したがって、ワーキングホリデー中の外国人を雇用する際には、指定書を持参してもらい、自社の業務に就労できるのか否かを確認したうえで雇い入れることが重要です。

健康保険・厚生年金保険の取扱い
 事業所が健康保険および厚生年金保険等の適用事業所であれば、ワーキングホリデー中の短期滞在者といえども、日本人社員と同様の要件にて加入義務があります。すなわち所定労働日数・所定労働時間数がともに正社員の4分の3以上であれば、原則として加入しなくてはなりません。

脱退一時金制度
 ワーキングホリデー中の短期滞在のみでは、日本の年金受給資格を得ることができないケースがほとんどです。そこで、短期在留外国人が年金受給資格を得ることができない場合の措置として、脱退一時金制度があります。脱退一時金は、日本国籍を有しない者が被保険者資格を喪失し、日本を出国した場合、日本に住所を有しなくなった日から2年以内に請求することができます。詳細の要件、額については、日本年金機構の下記ホームページにてご確認ください。
http://www.nenkin.go.jp/n/www/service/detail.jsp?id=1728

雇用保険の取扱い
 雇用保険については、ワーキングホリデーは休暇が主目的であり、労働が目的ではないため、加入する必要はないという判断が、昭和60年に発出された通達で明確にされています。

(佐藤浩子)

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