中国人事管理の先を読む!第70回「上海市、10月から社会保険料の料率を引き下げ」

shanghai 上海市は2013年10月1日から、従業員の社会保険料率の企業負担分を現行よりも2ポイント、従業員個人負担分を現行よりも0.5ポイント引き下げました。対象となったのは5つの社会保険である「養老」「医療」「失業」「生育」「工傷」のうち工傷保険を除く4保険で、リーマンショック以降続いている企業の景気低迷を補い、少しでも人件費負担の軽減を図るのが目的と考えられています。通常、社会保険の料率、保険料は毎年4月に改正されますので、今回は企業業績にテコ入れをするための緊急措置と思われます。

 社会保険を個々にみていきますと、表のように、養老保険の企業負担分が22%から21%へ1ポイント引き下げ、医療保険の企業負担分が12%から11%へ1ポイント引き下げ、失業保険の企業負担分が1.7%から1.5%へ0.2ポイント引き下げ、生育保険の企業負担分は0.8%から1%へ0.2%引き上げとなりました。一方で従業員の負担分は、失業保険が0.5ポイント引き下げとなっています。

 また上海市は、社会保険料率を引き下げても、従業員が享受できる保険料そのものには影響を与えないと発表しています。

 それでは、今回引き下げられた企業負担分2%の効果はと言いますと、保険料率の基数が5000元の従業員がいた場合、企業負担分は5000元の2%、つまり100元の減額となります。毎月100元の負担減となれば、製造拠点のように人数規模が大きい企業はそれなりにまとまった効果がありそうです。しかし、一方ではこの基数の算出に用いられる「市平均賃金」や「従業員の昇給率」がほぼ毎年10%前後上昇しているため、結果として社会保険料の負担は今後も毎年増加していくと思われます。


参考リンク
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(清原学)
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