職場での労働法違反があった際、半数近くの者が「何らかの行動を起こす」と回答
統計上は労働トラブルは若干減少しているという結果が数多く出ていますが、その減少幅は小さく、全体としては高止まりしているという認識が正しいのではないかと考えています。そんな労働トラブルに関し、少し怖さを感じた調査結果が公表されましたので、本日はそれを取り上げたいと思います。
連合総研は先日、「第26回 勤労者の仕事と暮らしについてのアンケート調査」の結果をまとめ、公表しました。これは、首都圏ならびに関西圏に居住する20~64歳の民間企業に雇用されている2,000名を対象に実施されたもの。この中で以下のような設問が設けられています。
[設問]
「残業代が支払われない、有給休暇が取れない、社会保険加入の資格があるのに加入できない、などといった明らかに法律に違反するようなことをあなた自身が経験した場合に、あなたはどのように対応しますか?
[回答]
何らかの行動を起こす 44.6%
何も行動しないで現在の職場に残る 14.1%
何もしないで現在の仕事をやめる(転職含む) 18.0%
わからない 23.4%
実に半数近くの者が何らかの行動を起こすとし、更には18.0%が行動を起こさずに退職すると回答しているのです。「何も行動しないで現在の職場に残る」という14.1%が良いとも言えませんが、この結果は衝撃的です。その上で、「何らかの行動を起こす」と回答した者にに対して具体的な行動を尋ねた結果が以下の通りです。
職場の上司・経営者に話す 47.8%
職場の同僚に相談する 38.5%
労働基準監督署に申し立てる 36.4%
家族に相談する 36.0%
行政の労働相談を利用する 27.0%
社内の苦情処理委員会等に申し立てる 20.2%
勤め先にある労働組合に相談する 18.3%
弁護士に相談する 11.2%
NPOに相談する 6.4%
裁判所に訴える(労働審判を含む) 5.7%
勤め先以外の労働組合に相談する 3.5%
太字にしたものが社外の各種機関に相談するというものですが、やはり労働基準監督署に相談するが36.4%と最多になっています。その他、弁護士やNPO、ユニオンなども選択肢として一定数の回答が見られ、紛争処理方法の多様化が進んでいることが感じられます。
近年はインターネットの普及などにより、従業員も労働法に関するかなりの知識を持っています。多くの従業員は法違反の事実を理解していても、会社との関係を優先し、それを表立って指摘しないという選択をしてきました。しかし、最近は若い世代を中心に権利として会社に対し、様々な要求をする例が増えてきており、今回の調査もそれを裏付ける結果となっています。従業員が文句を言わず黙っているのが良い会社でもありません。企業としては従業員が安心して働くことができる環境を実現するためにも、各種法違反がないようにチェックを行い、できるところからでも改善していきたいものです。
参考リンク
連合総研「第26回 勤労者の仕事と暮らしについてのアンケート調査」
http://www.rengo-soken.or.jp/webpage/28.html
(大津章敬)
http://blog.livedoor.jp/otsuakinori/
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