中国人事管理の先を読む!第71回「人事制度の奥の深さ」
人事制度をきちんと整備したいという企業からのご要望は絶えずあって、私も常に5~6社の制度づくりを並行して担当しています。その中には、社員への説明も終了した企業や終盤を迎えた企業、逆にこれから始まる企業など、進み具合も様々です。私のこのような仕事では「これが正しい」という解答がないため、結局は会社がどのような制度にしたいのか、どのように従業員を処遇したいのか、どのような理念に基づいて従業員を育てていきたいのかということを中心に制度を作っていきます。また、それらを根拠として作っていくことがもっとも大切なポイントでもあるのです。
人事制度を作る場合、「等級制度」「給与制度」「評価制度」の3つを柱とします。もちろん、おのおのが関連しながら制度全体を構成しているので、その中のたったひとつだけを取り出して作っていくことはできないのですが、この中のひとつの制度をとってみても、そこにはまたいろいろな方法があったりする訳です。
さらに厄介なのは、作りさえすればどのような制度でもよいという訳ではない点です。「等級制度」「給与制度」「評価制度」の相互間には、それぞれ相性が非常に悪い項目もあります。でも、そういうことってなかなか気が付かないものですよね。ですから、この人事制度を作るという仕事はとても地味で手間の掛かる仕事なのです。いままでどれだけの制度づくりをしてきたかという経験や、どのような制度をいくつ熟知しているかといった引き出しの多さが必要になるのです。
正解がないということは、作る人によってそのカラーが決まるということでもあります。また、クライアントの従業員の給与を決めたり、従業員のキャリアパスの根拠となる制度を作ったりする訳ですから、制度ひとつ間違えてしまえば、それは経営の根幹を揺るがすことになってしまいます。そういうことを考えると、人事制度を作るという仕事の責任は非常に重いのです。
冒頭でもお話ししましたが、人事制度を作り直したいという要望をお持ちの企業はまだまだ非常にたくさんあります。その大きな理由のひとつに、日本のやり方ではなく中国に合った人事制度にしたいという動機があります。人事制度は従業員のためのものでもありますから、自分の会社の中国人従業員のモチベーションを高める制度を導入したいという要望は当然のことなのです。
参考リンク
ビジネスフリーペーパー「Bizpresso」概要
http://bizpresso.net/about
(清原学)
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