中小企業の猶予措置廃止が今後検討される月60時間超の法定割増賃金率引き上げ

月60時間超の法定割増賃金率引き上げ いまから3年半前の平成22年4月に施行された改正労働基準法は、1ヶ月60時間を超える時間外労働について法定割増賃金率が、25%から50%に引き上げられるという大きな改正が含まれていました。ただし、この適用について中小企業は当分の間、猶予されることとなっており、「この中小事業主に対する猶予措置については、改正法の施行後3年を経過した場合において検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずる」と附則に明記されていました。

 今春、この3年が経過しましたが、これまでは厚生労働省での具体的議論は進んでいる様子は見られませんでした。ところが2013年9月27日に開催された「第103回労働政策審議会労働条件分科会」ではこのテーマが論点(案)として挙げられています。その議事録を確認すると、「閣議決定上、総合的な労働時間の議論に関しまして、1年を目途に結論を得るということにされているところです。このスケジュール感に沿って本分科会における御結論を取りまとめいただければありがたいと考えております。お取りまとめいただいた結果、法改正が必要な内容であるということであれば、審議会で得られた結論に従って政府として誠意を持って所要の措置を講じていくことになるのではないかと考えております」と労働条件政策課長が発言をしています。労働時間に関しては、企画業務型裁量労働制やフレックスタイム制の見直しについても論点として挙げられており、今後、これらも含めて、議論が尽くされていくものと思われます。

 現状のところあまり大きく取り上げられていないこの問題ですが、労務ドットコムでは継続的に注目し、状況をお伝えしていきたいと思います。


参考リンク
厚生労働省「第103回労働政策審議会労働条件分科会資料」
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000024580.html
厚生労働省「2013年9月27日 第103回労働政策審議会労働条件分科会 議事録」
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000027735.html

(宮武貴美)
http://blog.livedoor.jp/miyataketakami/

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