中国人事管理の先を読む!第72回「賃金制度の効用」

中国人事管理の先を読む!第72回「賃金制度の効用」 人事制度は大きく「等級制度」「賃金制度」「評価制度」に分けられ、それぞれの制度が緊密に関係しているため、制度全体のイメージを思い浮かべておくことが重要です。

 このうち「賃金制度」は従業員の賃金決定に関するしくみを作っていく訳ですが、賃金はさらに「基本給」「考課給」「手当」に分類されます。ここで注意しておかなければならないことは、「基本給」に対して毎年の昇給をダイレクトに反映させてしまう賃金制度になっている例が非常に多いことです。これでは賃金全体が上がり過ぎ、人件費ばかりが年々上昇してしまう結果になってしまいます。あくまでも基本給は等級と紐づけさせ、等級が上がる(=昇格する)ことで基本給も初めて上昇するというしくみにしておくべきです。この定昇以外に毎年の物価上昇分についても基本給に影響させるようにし、基本給のベースアップを行うようなしくみにしておくことも基本給制度のポイントとなります。このように賃金制度をきちんと作り上げておくことで、企業の人事管理上、メリットになることが2つあると思います。
一定のルールで賃金を決定できる
 制度作りはルール作りです。極端な話、それがどのような制度であっても、ひとつのルールとして機能します。ですから、せっかくルールを作るのであれば、できるだけ納得性の高いルールにしたいものです。「会社に賃金を決めるルールがない」ということは、従業員もよく知っています。だから、「どうせルールもないことだし、交渉すればもっと給料を上げてくれるのかも…」となる訳です。実際、賃金制度を構築した後は昇給後の直談判がなくなったという話はよく耳にするところです。このように「会社が理論武装を行う」という姿勢は管理上、非常に大切であり、賃金制度はそれを実現してくれるものとなります。
賃金の決定がしやすい
 もう一つのメリットは、従業員を新規に採用する際に、賃金の決定がしやすくなるということです。応募してきた人材が有しているスキルや経験に対して、どの程度の賃金を払えばよいのかということを見事に解決し、賃金決定のプロセスにおいての迷いを払拭してくれるのが賃金制度です。

 このように、賃金制度を構築することにより、管理の煩雑さや精神的な負担が軽減されるというメリットがあり、計り知れない効用があります。皆さんの会社でも、ぜひ賃金制度の見直しを行ってみてください。


参考リンク
ビジネスフリーペーパー「Bizpresso」概要
http://bizpresso.net/about

(清原学)
http://blog.livedoor.jp/kiyoharamanabu/

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