2014年5月20日の自動車運転処罰法施行により強く求められる従業員の病歴等のチェック

2014年5月20日の自動車運転処罰法施行 しばしばニュース等で重大な交通事故の被害が報道されますが、これまで飲酒運転等の危険運転で死傷事故を起こしても危険運転致死傷罪の適用が見送られるケースがあり、より事故の発生実態に即した法整備が求められていました。これを受けて今回、悪質危険な運転者に対する厳罰化を盛り込んだ新たな法律「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(自動車運転処罰法)」が制定され、平成26年5月20日より施行されることとなりました。社有車を保有する企業においては改めて自動車管理および人事労務管理の方法を見直す必要が出てくることから、以下では今回の新法に関する内容について取り上げましょう。

 今回の法施行により、「危険運転致死傷罪」の適用対象が追加・新設されています。
[追加]
・一方通行路や高速道路の逆走、歩行者天国の暴走など「通行禁止道路(政令で定める)を危険な速度で走行
[新設]
・アルコールや薬物の影響で正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で自動車を運転
・幻覚や発作を伴う病気(政令で定める)の影響で正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で自動車を運転

 これにより、以上のような状態で死傷事故を起こした場合に、その罰則が強化されることとなります。なお、この幻覚や発作を伴う病気については政令で定めるとされており、以下の6つになります。
統合失調症
低血糖症 
そううつ病
再発性の失神
重度の眠気の症状を示す睡眠障害
てんかん
 ※意識障害や運動障害をもたらす発作が再発する恐れがあるケースに限定

 このことから、従業員がてんかんの持病を持っており、意識を喪失するような発作の前兆があったり、医師から指示された薬を服用せずに運転し、死傷事故を起こすと「準危険運転致死傷罪」の適用を受ける可能性があります。こうした交通事故については企業に対して運行共用者責任や使用者責任が課せられていることから、採用時における病歴のチェックや採用後の薬の適正服用のチェックなどの重要性が増すことになるでしょう。実務的には就業規則の採用の条文や服務規律などの見直しも求められることになりそうです。


参考リンク
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律
http://law.e-gov.go.jp/announce/H25HO086.html
静岡県警「「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」制定のお知らせ」
http://www.pref.shizuoka.jp/police/anzen/jiko/kotsuho/h260526kaise.html

(福間みゆき)

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