中国人事管理の先を読む!第78回「上海市の最低賃金の調整」

中国人事管理の先を読む!第78回「上海市の最低賃金の調整」 2014年3月29日、上海市人力資源社会保障局が今年度の上海市の最低賃金を発表しました。結果はなんと、1820元でした。1620元から一気に200元もの上げ幅となり、上昇率としては過去の実績の中でも群を抜く12.3%の大幅アップとなりました。先日のこのコラムでは、北京市が久々に11.4%の上昇となりましたので、上海市でも少し多めに考えて1780元という予測をしましたが、それをさらに上回る結果となりました。

 最低賃金の調整によって高騰するものは賃金だけではありません。賃金の上昇につられて社会保険料も上がりますし、残業手当や賞与なども上昇します。人件費全体でみれば、名目の賃金上昇だけではないのです。そもそもベースとなる賃金や人件費全体では、上海市は広州市や深せん市と並ぶ高い水準の地域です。ここ数年来、上海に新規で進出してくる製造業は頭打ちだったのですが、ここまで賃金が大きく増えてしまいますと、上海市内の生産型企業の中には、事業全体のあり方をいよいよ考え始めるところが出てくるものと思われます。

 上海市で最低賃金の調整と並んで毎年発表されるのが、前年度の平均賃金です。サラリーマンのほか、個人商店や個人業者等々で勤務する所得収入の伸び率で、こちらもここ数年、前年比で10%前後の伸長をみせています。毎年所得が10%も増加するなど、羨ましい限りです。これは、2011年の全人代で発表された5カ年計画で、5年の間に国民の所得を倍増させるという大きな方針が打ち出され、それを実行しつつある結果の表れとも言えるのでしょう。従ってこの状況は少なくともあと2年は続いていくものと思われます。

 そのような状況においては、外資系企業の中でも中国国内での市場拡大を狙っている企業にとっては、国民の所得が増えることによって購買力が強化されたり、購買アイテムが増えることによって非常に大きな恩恵を受けるものとも思われます。しかし、一方で安い労賃に支えられてものづくりを行ってきた企業にとっては、非常に厳しい時代を迎えつつあるとも言えます。そのような人件費メリットを活用し、設備投資よりは人頭によってものづくりをしてきた企業も、今後は少数精鋭、自動化できるところは自動化を進めるなど、生産方針の見直しを迫られるものと思われます。


参考リンク
ビジネスフリーペーパー「Bizpresso」概要
http://bizpresso.net/about

(清原学)
http://blog.livedoor.jp/kiyoharamanabu/

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