中国人事管理の先を読む!第76回「2014年度最低賃金の調整」

人民元 今年もはや3月。4月の昇給を迎える企業にとっては、正念場の時期になってまいりました。それに合わせて毎年注目されるのは、最低賃金の「調整」です。調整といっても実質この10数年以上は、引き上げられた事実しかないのですが、中国政府は敢えて調整という言葉を使うようです。ただこの最低賃金の調整も、早い省・市では2月頃に、遅いところでは夏くらいに発表になるため、1月や4月に昇給を行う企業は調整幅を想定して昇給を行うしか術がありません。ですから最近では、最低賃金ギリギリで賃金水準を設定する企業はめっきりと少なくなりました。

 北京市では2月、すでに今年の最低賃金が発表されています。その内容をみますと、昨年の1400元から今年は1560元と160元、11.4%のアップとなっています。ここ数年北京市は最低賃金の引き上げを低い水準で抑えていましたから、久々に大幅な引き上げとなりました。一方で上海市は、毎年4月から5月にかけて発表となります。比較的早く発表される北京市の状況を参考にしながら上海市の最低賃金を予測する訳なのですが、上海市の現在の最低賃金は1620元。平均賃金も昨年は11%を超えていましたので、最低賃金もそれ以上の引き上げが考えられ、おそらく1780元くらいにはなるのではないかと思われます。

 ところでこの最低賃金なのですが、1620元が最低ラインだからといって1620元の賃金で雇い入れていると、これは法律違反になってしまいます。最低賃金に含めてはいけない賃金等というものがあり、上海市、北京市では以下の8項目となっています。
個人負担の社会保険
住宅積立金
残業手当
特殊職場手当(3交代)
特殊環境手当(高温、低温)
住宅手当
交通手当
食事手当

 これらを除いたもの、つまり手取賃金で1620元になることを要求されるため、実質最低賃金は2300元くらいになるのではないでしょうか。また、この控除基準もある地域では住宅積立金は控除して考えてもよいなど、地域によって異なりますので、当地の条例がどうなっているのか注意が必要です。


参考リンク
ビジネスフリーペーパー「Bizpresso」概要
http://bizpresso.net/about

(清原学)
http://blog.livedoor.jp/kiyoharamanabu/

当社ホームページ「労務ドットコム」にもアクセスをお待ちしています。

facebook最新情報の速報は「労務ドットコムfacebookページ」にて提供しています。いますぐ「いいね!」」をクリック。
http://www.facebook.com/roumu

当ブログの記事の無断転載を固く禁じます。