差別的取扱いの禁止を拡大する改正パートタイム労働法の内容
2014年4月下旬、改正パートタイム労働法が成立しました。施行期日はまだ決定していませんが、今回はその改正された内容について確認しておきましょう。
全労働者に対する非正規雇用者の割合が高くなるにつれ、正規労働者と非正規労働者の職務内容と労働条件の相違に着目されるようになりました。今回の改正は、パートタイム労働者の公正な待遇を確保し、また納得して働くことができる環境を構築することを目的に行われます。改正点は大きく分けて以下の4点となっています。
正社員と差別的取扱いが禁止されるパートタイム労働者の対象範囲の拡大
平成20年4月に施行されたパートタイム労働法では、いわゆる正社員と同視されるパートタイム労働者について差別的取扱いをすることが禁止されました。今回は、この同視されるパートタイマ労働者について、「職務内容が正社員と同一」「人材活用の仕組み(人事異動等の有無や範囲)が正社員と同一」の2点で判断し、両方に該当すれば、有期労働契約を締結しているパートタイム労働者も正社員と差別的取扱いが禁止されることになります。
「短時間労働者の待遇の原則」の新設
事業主が、雇用するパートタイム労働者の待遇と正社員の待遇を相違させる場合は、その待遇の相違は、職務の内容、人材活用の仕組み、その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならないとする、広く全ての短時間労働者を対象とした待遇の原則の規定が創設されました。改正後は、パートタイム労働者の待遇に関するこうした一般的な考え方も念頭に、パートタイム労働者の雇用管理の改善を図る必要が出てきます。
パートタイム労働者を雇い入れたときの事業主による説明義務の新設
事業主は、パートタイム労働者を雇い入れたときは、実施する雇用管理の改善措置の内容について、説明しなければならないこととなりました。この雇用管理の改善措置の内容とは、具体的に「賃金制度はどうなっているのか」「どのような教育訓練や福利厚生施設の利用の機会があるのか」といったことがあります。
パートタイム労働者からの相談に対応するための事業主による体制整備の義務の新設
事業主は、パートタイム労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制を整備しなければならないこととなりました。「相談に対応するための体制整備」とは「相談担当者を決め、相談に対応させること」や「事業主自身が相談担当者となり、相談対応を行う」ということを指します。
今後、施行日とともに、省令や指針が出されるようですので、ともに注目をしていく必要があります。なお改正法にかかるリーフレットは以下よりダウンロードできますので、是非ご利用ください。
http://blog.livedoor.jp/leafletbank/archives/51314980.html
関連blog記事
2014年4月24日「パートタイム労働法が変わります!」
http://blog.livedoor.jp/leafletbank/archives/51314980.html
参考リンク
厚生労働省「パートタイム労働法の改正について」
http://www.mhlw.go.jp/topics/2007/06/tp0605-1o.html
(宮武貴美)
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