遂に閣議決定された安部内閣の新成長戦略 労働時間制度改革はどうなる?

遂に閣議決定された安部内閣の新成長戦略 昨日、安部内閣は話題のホワイトカラーエグゼンプションを含む「日本再興戦略」改定2014を閣議決定しました。今回の改訂では、昨年の成長戦略で残された課題としていた「労働市場改革」、「農業の生産性拡大」、「医療・介護分野の成長産業化」等の分野にフォーカスして、解決の方向性を提示したものになっています。

 基本的には2014年6月19日のブログ記事「産業競争力会議で示された「日本再興戦略」の改訂について」(素案)に見られる労働時間制度改革の論点」で取り上げた素案とほぼ同じ内容になっているようですが、以下ではこのうち、「雇用制度改革・人材力の強化~失業なき労働移動の実現/マッチング機能の強化/多様な働き方の実現」で掲げられている「新たに講ずべき具体的施策」の項目を見てみることにしましょう。
働き方改革の実現
①働き過ぎ防止のための取組強化
②時間ではなく成果で評価される制度への改革
③裁量労働制の新たな枠組みの構築
④フレックスタイム制の見直し
⑤職務等を限定した「多様な正社員」の普及・拡大
⑥持続的な経済成長に向けた最低賃金の引上げのための環境整備
予見可能性の高い紛争解決システムの構築
①「あっせん」「労働審判」「和解」事例の分析
②透明で客観的な労働紛争解決システムの構築
外部労働市場の活性化による失業なき労働移動の実現
①ジョブ・カードの抜本的見直し(ジョブ・カードから「キャリア・パスポート(仮称)」へ)
②能力評価制度の見直し
③キャリア・コンサルティングの体制整備
④官民協働による外部労働市場のマッチング機能の強化
⑤産業界のニーズに合った職業訓練のベスト・ミックスの推進

 ホワイトカラーエグゼンプションについては「一定の年収要件(例えば少なくとも年収1000万円以上)を満たし、職務の範囲が明確で高度な職業能力を有する労働者を対象」としており、当面はほとんど対象者がいないという状況になろうかと思いますが、「我が国の課題である働き過ぎの改善に向けて、長時間労働抑制策、年次有給休暇取得促進策等の検討を労働政策審議会で進める」とされている過重労働対策などで実務上の影響が予想されます。
「日本再興戦略」改訂2014-未来への挑戦-全文(平成26年6月24日)は以下でご覧いただけます。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/honbun2JP.pdf


関連blog記事
2014年6月19日「産業競争力会議で示された「日本再興戦略」の改訂について」(素案)に見られる労働時間制度改革の論点」
https://roumu.com
/archives/52039791.html

2014年5月29日「大きな注目を集める産業競争力会議で示された労働時間制度改革の概要」
https://roumu.com
/archives/cat_1090225.html

参考リンク
首相官邸「成長戦略で、明るい日本に! ≪詳細版≫」
http://www.kantei.go.jp/jp/headline/seicho_senryaku2013.html

(大津章敬)
http://blog.livedoor.jp/otsuakinori/

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