都内労働組合の2014年賃上げ平均妥結額は6,425円、ベア実施企業は45.7%
今年の春闘はベースアップが大きな話題となり、大企業を始めとして久々のベアを実施した企業が相次ぎましたが、先日、東京都産業労働局は「2014年春季賃上げ要求・妥結状況について(平成26年7月3日現在・最終集計)」を公表しました。この調査は都内に所在する1,000の民間労働組合を対象としたもので、今回の結果はそのうち妥結した537組合の結果を集計したものです。以下ではその概要を見ていくこととしましょう。
妥結した労働組合のうち集計可能な485組合の平均妥結額は6,425円で、これは平均賃金(314,382円・39.1歳)の2.04%に相当しています。同一労組の前年妥結額との比較では、金額で1,018円、率で18.83%上回りました。賃上げ率が2%を超えるのは、平成13年の2.08%以来、13年ぶりとなります。産業別・業種別妥結金額の分析対象(5組合以上)となった27業種のうち、対前年比がもっとも高かったのは、「その他運輸」(57.09%)、以下「道路貨物運送」(51.85%)、「非鉄金属」(36.41%)となっています。一方、対前年比がもっとも低かったのは、「医療、福祉」(-1.73%)、続いて「ゴム製品」(0.00%)、「建設業」(0.81%)となっています。
また、今回の調査では、賃上げ交渉内容等に関する付帯調査が実施されました(回答組合数:380組合)。この付帯調査結果によると、定期昇給制度がある企業は71.8%を占めており、今回の春闘における要求内容についても、「定期昇給+ベースアップ」を要求した組合がもっとも多く、56.1%となっています。これに対し、妥結した内容を見てみると、「定期昇給+ベースアップ」が38.9%、「ベースアップのみ」が6.8%、「定期昇給のみ」が36.8%となっています。
このように、今回の春闘ではベースアップの有無が盛んにクローズアップされましたが、必ずしも大多数の企業で実施されたわけではなく、企業によって差が出ている結果となっています。景気回復の兆しを受けて、来年度の春闘でも引き続きベースアップが要求されることも予想されますが、各企業においては経営状況等を見極めながら、慎重に対応することが肝心です。
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参考リンク
東京都産業労働局「2014年 春季賃上げ要求・妥結状況について(平成26年7月3日現在・最終集計)」
http://www.metro.tokyo.jp/INET/CHOUSA/2014/07/60o78200.htm
(小堀賢司)
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