社員の仕事への満足度を高めるキーワードは「感謝・貢献・成長・信頼」
社員の仕事への満足度を高め、組織の活性化を進めたいというのはすべての経営者の願いであります。しかし、なかなかそのような環境は実現できておらず、どうしたものかと頭を抱えている方も少なくないでしょう。そんなみなさんにご紹介したいのが、先日、日本能率協会が公表した「第3回「ビジネスパーソン1000人調査」働き方に関する意識アンケート結果」です。この調査は、全国の20歳~69歳までの正規・非正規雇用の就業者を対象に実施されたもので、回答者数は1,000人(内訳:男性556人、女性444人)となっています。
この調査の中から、「あなたは現在の仕事にやりがいを感じていますか」という設問に対する回答を見ると、全体の53.7%が「やりがいを感じている」、残りの46.3%が「やりがいを感じていない」と回答しています。男女による差はほとんど見られませんが、年代別で見ると、60代の67.6%が「やりがいを感じている」と回答する一方、40代は45.8%、50代は48.0%に止まっており、40~50代の仕事への満足度が低下している現状が見えてきます。
一方、仕事にやりがいを感じている、もしくは感じていない理由を見ると、以下がそのトップ10となっています。
■やりがいを感じている理由
1位 やりたい仕事ができている 33.1%
2位 誰かの役に立っている実感がある 29.1%
3位 お客様から感謝されている 20.5%
4位 もともと働くことが好き 18.6%
5位 自分が成長している実感がある 18.1%
6位 社会に貢献している実感がある 15.6%
7位 上司から頼られている 15.6%
8位 同僚・部下から頼りにされている 14.2%
9位 よい評価を得ている 13.2%
10位 会社に貢献している実感がある 12.1%
■やりがいを感じていない理由
1位 納得のいく収入が得られていない 41.0%
2位 自分が成長している実感がない 27.4%
3位 やりたい仕事ができていない 25.7%
4位 もともと働くことが好きではない 17.5%
5位 誰かのお役に立っている実感がない 16.8%
6位 よい評価を得られていない 16.4%
7位 社会に貢献している実感がない 11.0%
8位 上司から頼りにされていない 9.3%
9位 業務目標を達成できていない 6.5%
10位 望んだ役職に就けていない 6.3%
このようにやりがいを感じていない理由は、「納得のいく収入が得られていない」が圧倒的1位となっていますが、一方で、「納得のいく収入が得られている」をやりがいを感じる理由としている回答はトップ10にも入っていません(第11位 11.7%)。よく賃金は衛生要因(不満要因)であると言われますが、文字通りそれが実証されています。企業としては、一人でも多くの社員に仕事へのやりがいを感じて欲しいと考えていると思いますが、そのキーワードを集めると「感謝」「貢献」「成長」「信頼」といった非常に心情的なものが多くなっていることが分かります。社員を活性化するために賃金制度を見直そうという意見がよく聞かれますが、こうした結果を見ると、その発想は間違っていると気づかされます。不合理な賃金制度は社員の不満を高めますから、それを是正することは重要です。しかし、社員にやりがいを感じてもらい、前向きな行動を引き出すためには、賃金制度を整備するだけでは十分ではありません。社員がその仕事を通じて、承認され、心理的な充実感を感じられるような環境整備を行うことが重要なのです。
参考リンク
日本能率協会「第3回「ビジネスパーソン1000人調査」働き方に関する意識アンケート結果」
http://www.jma.or.jp/news/release_detail.html?id=269
(大津章敬)
http://blog.livedoor.jp/otsuakinori/
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