給与計算期間の途中で昇給があった場合の月額変更に関する考え方

月額変更 給与計算において、処理すべき事項の一つに社会保険の月額変更に該当するか否かの確認があります。この月額変更の確認では固定的賃金の変動があったか等の要件を確認することになりますが、イレギュラーケースも多く発生し、判断に迷うことが少なくありません。これに関し、先日、日本年金機構から「給与計算期間途中の昇給に伴う月額変更届の取扱い」という疑義照会回答が公開されましたので、取り上げておきましょう。

 この事案では、日給月給制の従業員で、給与計算期間の途中に日給単価が上がった場合の取扱いについて、月額変更を考える起算月(1ヶ月目の月)をどこからと捉えるべきかという内容になっています。

 回答は、固定的賃金の変動があり、継続した3ヶ月の実績が確保される月、つまり、給与計算期間の途中に日給の単価が上がった月は含めず、当初から上がった日給で計算される月を月額変更を考える起算月(1ヶ月目の月)として取り扱うとしています。具体的な内容は以下の通りです。
【質問】
 給与計算が月末締め切りで翌月末支払いの会社の場合で、日給月給制の従業員の給与計算期間の途中で昇給があった場合の月額変更届の取扱いはどうなるのか。
例:11月27日付けで昇給があった(日給単価が2,000円上がった)。
 昇給後最初の給与支払は12月末である。昇給があった月以降の出勤日数は毎月20日以上あり、標準報酬月額も2等級以上の変動があった場合。

 この場合、以下のいずれの取扱いとなるのかご教授ください。
 1.最初の支払日が12月末日なので3月改定になる。
 2.12月末日支払(11月分)の内訳に昇給後2日分しか含まれていないため、支払い基礎日数が17日ないということで月額変更不該当になる。
 3.最初の支払である12月末日に昇給後2日分しか含まれていないので次期支払日の1月末日から3回みて4月改定になる。

【回答】
 随時改定を行うに際しては、①昇給・降給などで固定的賃金に変動があること、②変動月からの3ヵ月の間に支払われた報酬の平均月額に該当する標準報酬月額と従来の標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じていること、③3ヵ月とも支払基礎日数が17日以上あることの全てを満たしていることが条件となる。ご照会の事例においては、固定的賃金の変動があり、継続した3ヵ月間の実績が確保される「3」となる。

 月額変更の中でも特に迷いやすい内容ですので、しっかりと理解しておきましょう。


参考リンク
日本年金機構「主な疑義照会と回答について」
http://www.nenkin.go.jp/n/www/free1/detail.jsp?id=727

(宮武貴美)

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