外国人技能実習生の実習実施機関の79.6%が労働基準関係法令違反で監督指導
人手不足に対応するため、外国人技能実習制度の受け入れ年限や対象職種の拡大が議論されていますが、やはりこの制度は運用上大きな問題を抱えているようです。先日、厚生労働省より「外国人技能実習生の実習実施機関に対する平成25年の監督指導、送検の状況」が公表されましたが、監督指導を実施した2,318事業場のうち1,844事業場(79.6%)で何らかの労働基準関係法令違反が認められたという結果になっています。
この結果を見てみると、主な違反内容は多いものから順に以下のとおりとなっています。
安全衛生関係 49.3%
労働時間 29.9%
割増賃金不払 20.0%
の具体的事例は公表されていませんが、の割増賃金不払の事例としては、技能実習生が自身のノートに記録していた時間外労働時間数と事業主が賃金台帳に記録していた時間外労働時間数との間に齟齬が認められ、調査した結果、最低賃金額を下回る賃金であったことと、割増賃金の支払いが法定を下回っていたためことが判明。事業主に対し是正するよう勧告し、その結果、技能実習生7名に対して、割増賃金等の不足額合計約250万円が支払われたものがあったとのことです。なお、重大・悪質な労働基準関係法令違反については送検されたものもあり、平成25年は12件という結果でした。
この調査では、平成21年から平成25年まで7割を超える事業場で違反がある状況が続いており、なかなか改善が図られていないことが分かります。今後も実習実施機関に対し、労働基準関係法令などの周知・啓発に努めるとともに、問題があると考えられる実習実施機関に対しては監督指導を実施するなど、引き続き、技能実習生の適正な労働条件と安全衛生の確保に重点的に取り組むとしていることもあり、自社で点検を行い、違反状況が放置されている場合には、改善していきましょう。
参考リンク
厚生労働省「外国人技能実習生の実習実施機関に対する平成25年の監督指導、送検の状況」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000053771.html
(宮武貴美)
http://blog.livedoor.jp/miyataketakami/
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