年次有給休暇の平均取得率は48.8% 大幅上昇はみられず

年次有給休暇の平均取得率は48.8% 大幅上昇はみられず 2014年11月13日に厚生労働省は、「平成26年就労条件総合調査」の結果を発表しました。この調査は、主要産業における企業の労働時間制度、定年制等および賃金制度等について総合的に調査し、企業における就労条件の現状を明らかにすることを目的として毎年実施されているものです。

 この調査結果の中で、今回特に注目しておきたいのが、年次有給休暇の取得状況です。平成25年(または平成24年会計年度)1年間に企業が付与した年次有給休暇日数(繰越日数は除く)は、労働者1人平均18.5日(前年18.3日)、そのうち労働者が取得した日数は9.0日(同8.6日)で、取得率は48.8%(同47.1%)となっています。

 取得率を企業規模別にみると、1,000人以上が55.6%(同54.6%)、300~999人が47.0%(同44.6%)、100~299人が44.9%(同42.3%)、30~99人が42.2%(同40.1%)と企業規模が大きいほど取得率が高くなるという結果となっています。また、取得率を産業別にみると、大企業の多いインフラ事業である「電気・ガス・熱供給・水道業」が70.6%と高いのに対し、小規模事業場が多いとみられる「卸売業、小売業」が36.4%、「生活関連サービス業、娯楽業」が37.1%と、業種により大きな差が出ています。

 このように年次有給休暇の取得率は近年40%台後半を推移していますが、政府は年次有給休暇の取得率向上を加重労働の防止対策の重要施策の一つと考えており、2020年に取得率70%という目標を掲げています。また2016年4月に計画される労働時間法制改革の中では、過重労働対策の一環として、年次有給休暇の取得義務化の議論も行われています。一定日数の取得が義務化された場合、特に取得率の悪い業種や中小企業においては、その負担が大きいものと予想されますので、中期的な観点でいえば、年次有給休暇の取得率向上に向けてどのような取り組みや対応を行うか、いまのうちから考えておかなければならないでしょう。


参考リンク
厚生労働省「平成26年就労条件総合調査結果の概況」
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/14/index.html

(佐藤和之)

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