着実に雇用者数が増加している障害者雇用
今年は比較的法改正が少ない年と言われていますが、4月からは障害者雇用納付金制度の対象が200人超から100人超へと拡大され、この規模の企業にとっては障害者雇用に関する大きな実務上の影響が予想されます。また2018年4月からは精神障害者についても法定雇用率の算定対象に加えられることが決定し、今後、法定雇用率の引上げは不可避の状況にあります。このように障害者雇用は人事管理において重要性を増していますが、今回、障害者雇用に関するデータとして、厚生労働省より「平成25年度障害者雇用実態調査の結果」が発表されました。この調査は、民営事業所における障害者の雇用の実態を把握し、今後の障害者の雇用施策の検討や立案に役立てることを目的に、事業所調査と個人調査の2種類の調査を、5年ごとに実施されているものになります。このうち事業所調査は、常用労働者5人以上を雇用する民営事業所のうち、無作為に抽出した約13,100事業所が対象となり、回収数は8,673事業所(回収率66.0%)となっています。
調査結果を見ると、従業員規模5人以上の事業所に雇用されている障害者数 は631,000人で、5年前の前回調査に比べて 183,000人の増加(平成20年度 448,000人)となり、着実に雇用が進んでいることが分かります。ちなみにその内訳は、身体障害者 433,000人(同346,000人)、知的障害者 150,000人(同73,000人)、精神障害者 48,000人(同29,000人)となってます。
週の所定労働時間を見てみると、以下のような内訳となっており、知的障害者、精神障害者については20時間以上30時間未満の割合が前回より増加していることが分かります。
身体障害者
30時間以上 81.8%
20時間以上30時間未満 12.0%
20時間未満 5.5%
無回答 0.7%
知的障害者
30時間以上 61.9%
20時間以上30時間未満 26.5%
20時間未満 10.4%
無回答 1.1%
精神障害者
30時間以上 68.9%
20時間以上30時間未満 26.2%
20時間未満 4.2%
無回答 0.7%
このように障害者雇用の要請が強まる中、企業においては「会社内に適当な仕事があるか」ということが大きな課題となっています。また雇用している障害者への配慮事項として、身体障害者については「配置転換等人事管理面についての配慮」、知的障害者については「工程の単純化等職務内容の配慮」、精神障害者については「通院・服薬管理等雇用管理上の配慮」がもっとも多く行われています。そのため企業としては、社内で仕事を集めたり、特例子会社を設置するなどして、雇用の機会を作っていくことが喫緊の課題であり、雇用した後についても、能力が発揮できる仕事へ配置したり、調子の悪いときには休みを取りやすくするなどの配慮が求められます。
参考リンク
厚生労働省「平成25年度障害者雇用実態調査の結果を公表します」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000068921.html
(福間みゆき)
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