過重労働解消キャンペーンによる監督署調査対象事業場の83.6%が法令違反
厚生労働省は昨年11月に「過重労働解消キャンペーン」を実施し、労働基準監督署による重点監督などを進めましたが、先日、この実施結果が発表されました。今回行われた重点監督は、長時間労働削減推進本部の指示の下、長時間の過重労働による過労死等に関する労災請求のあった事業場や、若者の「使い捨て」が疑われる事業場など、労働基準関係法令の違反が疑われる事業場に対して集中的に実施されたものになります。
その結果を見てみると、対象となった4,561事業場のうち3,811事業場(83.6%)において労働基準関係法令違反があり、主な違反内容は以下のとおりとなっています。
違法な時間外労働があったもの:2,304事業場(50.5%)
うち、時間外労働※の実績が最も長い労働者の時間数が
月100時間を超えるもの :715事業場(31.0%)
うち月150時間を超えるもの:153事業場( 6.6%)
うち月200時間を超えるもの: 35事業場( 1.5%)
※法定労働時間を超える労働のほか、法定休日における労働も含む。
賃金不払残業があったもの:955 事業場(20.9%)
過重労働による健康障害防止措置が未実施のもの:72 事業場(1.6%)
このように重点監督実施事業場の約半数で違法な時間外労働が行われています。また、この重点監督の対象となった業種を見てみると、製造業が1,225事業場と圧倒的に多く、商業、その他の事業、保健衛生業と続いています。そして、上記の違法な時間外労働があった事業場の業種をみると、製造業、商業、接客娯楽業、その他の事業と続いており、接客娯楽業については、重点監督の対象となった事業場数のうち違法な時間外労働があった割合が他の業種に比べ高いことが分かります。
その他、この結果内容と併せて監督指導事例として、以下の7つが挙げられています。自社においてもこのような状況がないか確認し、問題があれば早めに対応しておきましょう。
[旅館業]最も長い労働者で月270時間を超える違法な時間外労働を行わせていたほか、45時間分以上の残業代を支払わず、かつ、休憩時間がない実態も認められたもの
[建設業]最も長い労働者で月約280時間の違法な時間外労働を行わせていたにもかかわらず、割増賃金の支払額を抑えるため労働時間を改ざんしていたもの
[測量業]最も長い労働者で月200時間を超える違法な時間外労働を行わせており、かつ、月100時間を超える時間外労働に対する割増賃金の支払いを行わなかったもの
[製造業]正社員の多くを管理監督者として取り扱うことで割増賃金の支払いを行わず、かつ、最も長い労働者で月150時間を超える違法な時間外労働を行わせていたもの
[製造業]6割以上の労働者に月100時間を超える違法な時間外労働(最も長い労働者の時間外労働は月180時間)を行わせていたもの
[情報処理サービス業]長時間労働などを原因とする複数の労災請求(脳・心臓疾患を発症、精神障害による自殺)が、ほぼ同時期になされた後も、当該事業場において、被災労働者以外の労働者についても月100時間を超える違法な時間外労働を行わせていたもの
[協同組合]最も長い労働者で月150時間を超える違法な時間外労働を行わせていたにもかかわらず、休憩時間を多く取得していたこととして、適正な金額の割増賃金を支払わなかったもの
参考リンク
厚生労働省 平成26年度「過重労働解消キャンペーン」の重点監督の実施結果を公表
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000072217.html
(福間みゆき)
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