利用率5.7%と低迷する社会保険・労働保険手続のオンライン利用
他の先進国と比較して出遅れたわが国の電子政府ですが、今回のマイナンバーにより大きく動こうとしています。現時点でも電子申請の普及が進められていますが、総務省が公表した「平成25年度における行政手続オンライン化等の状況」を見ると、分野によってその利用度合いに大きな差が出ていることが分かります。
今回の資料によれば、オンラインでの利用が可能な申請・届出等手続は、平成25年度においては、3,768種類ありますが、費用対効果等を踏まえた見直しがされ、前年度(7,188種類)から3,420種類減少しています。また、オンラインでの利用が可能な申請・届出等手続の全申請・届出等件数に占めるオンライン利用の割合(以下、「オンライン利用率」という)は、平成25年度においては、44.1%となっており、中でも、国民や企業による利用頻度が高く重点手続とされているものについては、46.2%となっています。
このうち、社会保険・労働保険分野の手続については、分野全体でのオンライン利用率は5.7%と前年度の4.2%から微増はしているものの、登記分野(61.2%)、国税分野(55.6%)など他分野と比べると明らかに低迷しています。社会保険・労働保険の重点手続のうち、最も利用率が高い「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届、船員保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」であっても7.6%と、重点手続とされていても軒並み10%にも届かない状況に大幅な変化がありません。
社労士会などでは、電子申請の利用促進のための対策を色々と打ってはいるものの、十分な成果を挙げるには程遠い状況となっており、国としても今後、抜本的な対策を行うことは不可避でしょう。今後、マイナンバーの施行でわが国は世界最先端の電子政府の構築に向かっていきます。現状ではまだまだ課題が多い電子申請ではありますが、今後より利便性が高まっていくことが予想されますので、業務の効率化のためにもその活用を検討してみてはいかがでしょうか。
関連blog記事
2014年12月23日「日本経済新聞「中小の電子申請を省力化 社会保険、入力データ再利用」という記事の背景と影響」
http://blog.livedoor.jp/nagoyasr/archives/41913403.html
参考リンク
総務省「平成25年度における行政手続オンライン化等の状況」
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01gyokan05_02000034.html
(佐藤和之)
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