均等法の是正指導件数の約7割を締めるセクハラ問題

均等法の是正指導件数の約7割を締めるセクハラ問題 昨年10月に最高裁でマタハラ裁判の判決が出され、大きな話題となりましたが、厚生労働省の「平成25年版 働く女性の実情」という報告書では、男女雇用機会均等法(以下、「均等法」という)の履行確保に向けた対策状況がまとめられています。そこで今回はこの内容ををとり上げましょう。
男女均等取扱いのための指導の実施
 平成24年度に、都道府県労働局均等室(以下、「雇用均等室」という)に寄せられた均等法に関する相談は20,677件となっており、前年度より若干減少しました。雇用均等室では対策として、企業における男女均等取扱い等を確保するため、事業所を訪問し雇用管理の実態を把握したり、性別による差別的な取扱いや妊娠・出産等を理由とした不利益取扱い等、均等法に違反する雇用管理の実態が把握された企業に対しては、都道府県労働局長の助言、指導、勧告により是正指導を行っています。以下は、是正指導が行われた内訳となります。
 均等法第5条関係(募集・採用) 199件
 均等法第6条関係(配置・昇進・教育訓練等) 160件
 均等法第7条関係(間接差別) 0件
 均等法第9条関係( 婚姻、妊娠・出産等を理由とした不利益取扱い) 19件
 均等法第11条関係(セクシュアルハラスメント) 5,359件
 均等法第12条・13条関係(母性健康管理)  1,957件
 その他 2件
 計 7,696件

 是正指導件数7,696件のうち、均等法第11条関係(セクハラ)が5,359件と全体の70%、均等法第12条・13条関係(母性健康管理)が1,957件と全体の25%を占めています。その他、コース等で区分した雇用管理制度を導入している企業に対しては、「コース等で区分した雇用管理についての留意事項」の周知徹底を図るとともに、法違反企業については是正指導を行っています。

職場におけるセクハラ対策の推進
 セクハラ対策については、均等室の方で対策の必要性について事業主の理解を深めたり、対策が効果的に実施されるよう均等法・指針の周知啓発を図っています。また均等法に沿ったセクハラ対策が講じられていない企業やセクハラが生じた場合に適切な対応がなされていない企業に対し、指導を行っています。

 母性健康管理対策の推進
 均等室では、均等法に基づいた母性健康管理の措置(健康診査の受診等に必要な時間の確保及び医師等の指導事項を守るために必要な措置を講じること)、労働基準法の母性保護規定(産前産後休業、危険有害業務の就業制限等)について、事業主、女性労働者、医療関係者等に対し周知徹底を図っています。また、母性健康管理に関して必要な措置を講じない等均等法違反の企業に対しては、行政指導を行うとともに、事業主が母性健康管理の措置を適切に講ずることができるように、女性労働者に対して出された医師等の指導事項を的確に事業主に伝えるための「母性健康管理指導事項連絡カード」の利用を促進しています。総務担当者としては、このようなカードがあることを女性労働者に情報提供し、必要に応じてぜひ、活用していきたいものです。
「母性健康管理指導事項連絡カード」はこちら
http://blog.livedoor.jp/shanaikitei/archives/54764218.html


参考リンク
厚生労働省「平成25年版働く女性の実情」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/josei-jitsujo/13.html

(福間みゆき)

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