残業削減や年休取得促進を図る際に活用できる職場意識改善助成金(職場環境改善コース)

lb05442 所定外労働時間の削減や年次有給休暇の取得促進を図るためには、企業だけでなく労働者側の意識も変えていくことが不可欠ですが、そうした労使の取り組みを支援するために「職場意識改善助成金(職場環境改善コース)」が設けられています。新年度になり多くの助成金制度が見直されていますが、この助成金は職場意識の改善に向けて様々な措置を効果的に実施した場合に、最大で100万円が受給することができるというものです。本日はこの助成金の概要について取り上げたいと思います。
[対象となる中小企業事業主]
□雇用する労働者の年次有給休暇の年間平均取得日数が13日以下であって月間平均所定外労働時間数が10時間以上であり、労働時間等の設定の改善に積極的に取り組む意欲がある中小企業事業主
□以下のリンク先の資本金額あるいは労働者数のいずれかを満たすもの。
http://www.chusho.meti.go.jp/soshiki/teigi.html

[助成内容]
支給対象となる取組
 以下のいずれかを1つ以上実施。
○労務管理担当者に対する研修
○労働者に対する研修、周知・啓発
○外部専門家によるコンサルティング(社会保険労務士、中小企業診断士など)
○就業規則・労使協定等の作成・変更(計画的付与制度の導入など)
○労務管理用ソフトウェアの導入・更新      
○労務管理用機器※1の導入・更新
○デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新
○テレワーク用通信機器※1の導入・更新
○労働能率の増進に資する設備・機器等(小売業のPOS装置、自動車修理業の自動車リフトなど)※2の導入・更新
  ※1 パソコン、タブレット、スマートフォンは対象とならない。
  ※2 成果目標をいずれも達成した場合のみ、支給対象となる。
成果目標
 支給対象となる取組は、以下の「成果目標」の達成を目指して実施。
a 年次有給休暇の取得促進
  成果目標:労働者の年次有給休暇の年間平均取得日数(年休取得日数)を4日以上増加させる。
b 所定外労働の削減
  成果目標:労働者の月間平均所定外労働時間数(所定外労働時間数)を5時間以上削減させる。
評価期間
 の成果目標の評価期間は、事業実施期間中(事業実施承認の日から平成28年2月15日まで)の3ヶ月を自主的に設定。

[申請の流れおよび申請時期]
(1)「職場意識改善助成金事業実施承認申請書」を事業実施計画書などの必要書類とともに、都道府県労働局労働基準部監督課(東京局、愛知局、大阪局は労働時間課)に提出(締切は10月15日(木))。
(2)事業実施承認後、提出した計画に沿って取組を実施。
(3)労働局に支給申請(締切は2月末日)。
(4)支給額
 1.支給対象となる取組の取組の実施に要した経費の一部を、2.成果目標を達成した場合に支給
○対象経費:謝金、旅費、借損料、会議費、雑役務費、印刷製本費、備品費、機械装置等購入費、委託費
○助成額:対象経費の合計額×補助率
     ※上限額を超える場合は上限額
(1)a、bともに達成 補助率 3/4 上限額 100万円
(2)どちらか一方を達成 補助率 5/8 上限額 83万円
(3)どちらも未達成 補助率 1/2 上限額 67万円
※ 労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新の取組の場合は、下の表のとおり。
(1)a、bともに達成 補助率 3/4 上限額 100万円

[リーフレット]
 この助成金のリーフレットは以下よりダウンロードすることができます。
http://blog.livedoor.jp/leafletbank/archives/51357818.html

 現在、労働基準法等の一部を改正する法律案が審議されており、年次有給休暇のうち5日について時季を指定して与えること(平成28年4月施行予定)が求められ、また月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率(50%以上)について、中小企業への猶予措置が撤廃される方向(平成31年4月施行予定)になっています。そのため、企業としては今回のような助成金を活用しながら、いまの段階から労使の意識改革を行い残業時間の削減、年次有給休暇の取得促進に取組むことが求められます。

[今年も深石社労士による助成金実践講座を東名阪+福岡で開催!]
 毎年恒例となっている深石圭介氏(労務管理事務所 新労社代表 特定社会保険労務士)による助成金セミナーを今年も開催します。昨年同様、トータルで5時間というボリュームでの講座となりますが、【営業編】と【改正情報編】の第2部構成とし、企業に対する助成金提案を成功させるコツから2015年度の助成金の改正情報とその提案のポイントについて、たっぷりお話しいただきます。


社労士事務所のための雇用関連助成金の効果的な提案と2015年度改正の最新情報
 ~助成金を“何から始めるか”選択と行動!今年の制度改正を受けた提案のポイント
講師:労務管理事務所 新労社代表 社会保険労務士 深石圭介氏


第一部(営業編)午前10時30分~午後0時30分
絶対に知っておきたい!社労士事務所の助成金提案業務成功のポイント
第二部(改正情報編)午後1時30分~午後4時30分
今年度の助成金の改正点と「使える」助成金の実務解説
東京会場
 2015年6月3日(水)名南経営東京支店(日比谷)[満席]
 2015年7月14日(火)名南経営東京支店(日比谷)
名古屋会場
 2015年6月10日(水)名南経営本社(丸の内)
大阪会場
 2015年6月11日(木)エル・おおさか(天満橋)
福岡会場
 2015年5月29日(金)福岡朝日ビル(博多)※会場変更
詳細およびお申し込みは以下よりお願いします。
http://www.lcgjapan.com/seminar/2015fukaishi/

(福間みゆき)

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