ハラスメント問題の深刻化を実感させられる連合「女性のための全国一斉労働相談」の結果
連合は先日、6月に実施した「女性のための全国一斉労働相談」の結果を公表しました。2日間に542件の相談が寄せられ、年代では40代が29.6%ともっとも多く、次いで50代(23.7%)、30代(19.5%)となっています。
この結果を相談内容別で見てみると、「セクハラ・パワハラ・嫌がらせ」の相談が30.1%と3割を占めており、職場におけるハラスメント問題の深刻化が進んでいることを再認識させられます。今回相談のあった具体的な内容として、以下の8つが紹介されています。
〈セクハラ〉
・上司の言葉がいやらしい。終業後には半強制的に食事につき合わされ、その食事の場でもセクハラ発言がある。上司を含め年配の男性が多く、「多少のセクハラ発言はたいしたことない」という雰囲気である。会社に相談窓口があるが、担当者が男性のため相談しにくい。
・飲み会の席で上司に、「キスしていいか」と聞かれ、断り切れなかったため抱きつかれキスをされてしまった。後日「あれは何だったのですか?」と聞いたら、「同意の上で、あのときは本気だった。恋愛ならセクハラにはならない」と言われた。
・職場でセクハラを受け、セクハラした本人ではなく上司から謝罪された。その後の朝礼で「職場内でセクハラがあり、○○さんが被害にあったので、これからは注意してください」と実名を出された。それ以降、自分を見る周囲の目がこれまでと違うように感じる。精神的につらい日々を過ごしており、会社も休みがちである。
〈パワハラ〉
・同僚から陰湿ないじめに遭っている。過去には、いじめによって退職に追い込まれた同僚もいる。母子家庭で辞めるわけにはいかないが、いつか自分も退職に追い込まれるかもしれないと心配である。
・上司からのパワハラがひどく、若いスタッフが次々にストレスが原因で休職や退職している。職場状況の改善について会議で発言するとその上司から暴言を受け、別の施設に転任させられてしまった。何を訴えても取り合ってもらえず、職員たちは激しい暴言に恐怖を感じている。
・月1回、昼休憩中に委員会がある。その委員会を体調不良で欠席したら委員長から「俺は聞いてない。連れてこい!」「お前は昼休みになると体調が悪くなるのか!」などの暴言を吐かれた。電話に出るのが遅くなったときには「お前はなんで電話に出ないんだ!」などと社長から恫喝された。
〈マタハラ〉
・切迫流産のため休んでいる。上司や同僚から理解が得られず、会社全体が妊娠を機に退職するという雰囲気である。つわりで休んだときに上司からは「仕事に影響があるから辞めた方がいい」と言われ、同僚の女性からも「私だったら妊娠したら仕事を辞める」と言われるなど周りからの言葉で追い詰められている。
・産休・育休をとった全員が降格される。女性の活躍を推進している中でこのような不利益扱いは許されるのか。反面、マスコミ報道などでは女性の管理職ができたなどをPRしているが、このようなやり方は許せない。
企業としては「自社でハラスメント問題が起きるはずはない」と対策を打たずに済ませるのではなく、ハラスメント問題が生じないように従業員に対して研修を実施して啓発するなどまずは予防対策を行っておくことが強く求められます。
参考リンク
連合「2015年6月11~12日 全国一斉労働相談ダイヤル「女性のための全国一斉労働相談~STOP!セクハラ・パワハラ・マタハラ」集計報告」
http://www.jtuc-rengo.or.jp/soudan/soudan_report/data/20150611-20150612.pdf
(福間みゆき)
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