介護休業の分割取得等の検討を進める厚生労働省の報告書

介護 先日、厚生労働省から「今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会報告書」が公開されました。この報告書は、厚生労働省において、平成26年11月以降「今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会」が開かれ、仕事と家庭の両立支援のための今後の施策のあり方等について検討されてきた内容が取りまとめられたものです。報告書には、仕事と育児・介護の両立がテーマになっていますが、今回は介護に関する内容がかなり盛り込まれたものになっています。今後の法改正にも一定の影響を与えるものですので、論点を確認しておきましょう。
介護休業(一の要介護状態ごとに通算して93日)の分割取得等
・同一の要介護状態でも介護休業の分割取得を認めることを検討すべき。
・分割回数は、介護の始期・終期・その間の時期にそれぞれ1回程度、休業できるように検討することが適当。
・介護休業期間は、分割取得が可能となった場合には、現行のまま通算して93日とすることが考えられる。
介護休暇(要介護者1人につき年5日、2人以上の場合年10日)の取得単位の見直し
・日数の延長や取得単位について、検討を進めることが必要。
・ケアマネジャーとの打ち合わせ等、丸1日休暇を取る必要がない場面も想定されるため、①時間単位や②半日単位での取得を検討することが適当。
選択的措置義務(短時間勤務制度等のうちいずれかを事業主が選択して措置する義務)・所定外労働の免除
・選択的措置義務を介護休業と通算して93日間から切り出すことを検討することが適当。その上で、期間の長さを検討すべき、当該長さは措置内容に応じて検討すべき、との意見があった。
・また、措置内容を、①従来の選択的措置義務の内容のまま、②所定外労働の制限を追加する等内容を変更、③短時間勤務制度等を単独の措置義務とする、等が考えられる、との意見があった。
・所定外労働の免除制度について、事業主への義務化、選択的措置義務への追加、等により制度導入することが考えられる。
仕事と介護の両立に向けた情報提供
・地域包括支援センタ-等やケアマネジャーが、労働者に適切に支援・情報提供できる仕組みが必要。ケアマネジャーに対し、仕事と家庭の両立支援に関する基礎的な知識を付与する取組の検討が必要。
・企業が従業員の介護に関するニーズを把握し、介護が必要になる前の労働者を含め、必要な情報を提供できることが望ましい。

 この他にも育児に関して論点がまとめられており、子の看護休暇を時間単位や半日単位で取得できるように検討することが適当等とされています。どのような対応が進められていくか、引き続き注目していきましょう。


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参考リンク
厚生労働省「今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会報告書」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000093495.html

(宮武貴美)

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