厚生労働省から公開された無期転換制度の導入事例

zu 平成25年4月に改正労働契約法が施行され、有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えたときに、労働者の申し込みによって無期雇用に転換するルール(無期転換ルール)が始まりました。この無期転換ルールにおける5年のカウントは、改正法施行から行われることとなっており、平成30年4月にはこの無期転換に関する問題が多く発生するのではないかといわれています。このような背景もあり、厚生労働省は先日、「無期転換制度の導入事例」を公表しました。

 今回公表された事例は、以下の9社であり、概要のほかに導入背景や取組手順、処遇・労働条件といった詳細を見ることができます。


オタフクソース株式会社
 一定の条件を満たすパート社員(1年契約、時給)を準社員(無期労働契約、月給)に登用【2014年3月より運用】
株式会社三越伊勢丹
 メイト社員(1年契約、月給)を入社初年度より無期労働契約に【2016年4月より運用】

東都生活協同組合
 勤続5年以上の従業員を無期転換【2014年3月より運用】

株式会社滋賀銀行
 有期雇用労働者(嘱託およびパートタイマー)の雇用契約が更新により通算5年を超えた時、労働者から申込みがあれば無期雇用労働者に転換できる制度を導入(H27.7.1 制度導入)

三井住友海上火災保険株式会社
 本人希望、上司推薦、人事部選考により、1年更新の有期雇用の「スタッフ社員」から、無期雇用の「アソシエイト社員(専任職)」「地域社員(総合職)」に転換することができる。

明治安田生命保険相互会社
 2015年4月に契約社員制度改正を行ない、有期契約社員(1年契約、月給)について、法律上の転換権の生じるより前の4回目の契約更新の際に無期労働契約に転換【2019年4月に転換】する制度を構築。あわせて、評価の高い者は早期(最短2回目更新時)に転換することが可能【最短2017年4月に転換】

日本生命保険相互会社
 有期雇用のスタッフについて、2~5年勤務後、新設の無期雇用職種として採用(スタッフ種類ごとにH28、H30より実施)

A社(総合不動産業)
 初年度の雇用契約が満了した主査(契約社員・1年契約)について、2年目の契約更新をする際に無期労働契約に転換

B社(銀行業)
 2015年4月より一定の要件を満たした嘱託契約社員・契約社員を無期雇用職種に転換。なお、2015年10月1日までに約8千人無期雇用職種へ転換済。

 特に多くの有期雇用労働者を雇用している企業は、制度を設けて運用することが必要になるため、早めに取り組むようにしましょう。


参考リンク
厚生労働省「労働契約法に基づく「無期転換ルール」への対応について」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000099928.html

(宮武貴美)
http://blog.livedoor.jp/miyataketakami/

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