本社機能を地方に移転・拡充する際に活用したい地方拠点強化税制

lb09125 国は政策を推し進めるために、様々な税制上の特典を用意することがあります。例えば有名なところでは、従業員を一定以上雇用した場合に雇用増加数1人当たり40万円の税額控除が受けられるという雇用促進税制がありますが、これに類似するものとして、本社機能を地方に移転、拡充した場合に受けられる地方拠点強化税制が創設されています。そこで、今回はこの内容について取り上げましょう。

 この地方拠点強化税制では地方活力向上地域が対象となり、首都圏、中部圏、近畿圏中心部の大都市等は対象外となり、どの地域が対象となるかは、以下のホームページから確認することができます。そして、手続きとしては、移転・拡充先となる都道府県知事に「地方活力向上地域特定業務施設整備計画」を申請し、認定を受けることが必要とされています。認定を受けるための条件は、以下の事項となります。
移転・拡充先となる都道府県の認定地域再生計画に適合すること(本社機能の新増設、賃貸借、用途変更をし、整備が行われていること等)
本社機能において従業員数が10 人(中小企業者※5人)以上増加すること(移転型事業については、過半数が東京からの移転であること)
円滑かつ確実に実施されると見込まれること
※中小企業者とは、中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律に定義する中小企業者

 要件となっている本社機能とは「調査・企画部門」、「情報処理部門」、「研究開発部門」、「国際事業部門」、「その他管理業務部門」のいずれかを有する事務所または研究所、もしくは研修所であって重要な役割を担う事業所を指しています。業種に制約はありませんが、工場や店舗などは対象にならないことに注意が必要です。

 そして地方拠点強化税制は、オフィス減税と雇用促進税制から成り、今回は雇用促進税制のみ取り上げると、本社を地方に移転、拡充することで以下の税制優遇を受けられることになっています。
[移転]
(1)本社機能の当期増加雇用者に対して
 法人全体の雇用者増加率が10%以上の場合 1人あたり50万円
 法人全体の雇用者増加率が10%未満の場合 1人あたり20万円
(2)(1)に加え、東京23区からの移転者を含む本社機能の当期増加雇用者に対して 1人あたり30万円を追加
[拡充]
本社機能の当期増加雇用者に対して
 法人全体の雇用者増加率が10%以上の場合 1人あたり50万円
 法人全体の雇用者増加率が10%未満の場合 1人あたり20万円

 この雇用促進税制については、適用年度中に雇用保険一般被保険者の数が5 人(中小企業者2人)以上増加し、適用年度及びその前事業年度中に事業主都合による離職者がいないことなどが要件となっています。その他、様々な要件があることから、活用を検討される場合は早めにリーフレットを確認しておきたいものです。
パンフレット「地方拠点強化税制のご案内」はこちら
http://blog.livedoor.jp/leafletbank/archives/51388220.html
地方活力向上地域の確認はこちら
http://ritti.net/iten

(福間みゆき)

当社ホームページ「労務ドットコム」にもアクセスをお待ちしています。

facebook最新情報の速報は「労務ドットコムfacebookページ」にて提供しています。いますぐ「いいね!」」をクリック。
http://www.facebook.com/roumu

当ブログの記事の無断転載を固く禁じます。