閣議決定された第4次男女共同参画基本計画に見る今後の働き方改革の方向性

第4次男女共同参画基本計画 政府は2015年12月25日、第4次男女共同参画基本計画を閣議決定しました。これは来年度から5年間の施策や目標を定めるもので、各種目標設定を行うと共に、その具体的な取り組み内容がまとめられたものになっています。人事労務に関する主要な指標の平成32年度の目標は以下のようになっています。( )内は現状の数値。
週労働時間60時間以上の雇用者の割合 5.0%(男性12.9% 女性2.8%)
男性の育児休業取得率 13%(2.3%)
6歳未満の子供を持つ夫の育児・家事の関連時間 1日あたり2時間30分(67分)
25歳から44歳までの女性の就業率 77%(70.8%)

 上記のような目標を達成するための様々な施策がまとめられていますが、企業の人事労務管理にも直接影響が出そうなものとして以下の2つを取り上げましょう。
長時間労働の削減等の働き方改革
(1)中小企業における月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率(50%以上)の適用猶予の廃止
(2)年次有給休暇の取得促進等を内容とする労働基準法等の改正案の早期成立
(3)法定労働条件の履行確保のための監督指導体制の充実強化
(4)時間外労働に係る上限規制や休息時間(勤務間インターバル)規制の導入、年次有給休暇等の連続取得等を可能とする職場環境整備等、長時間労働の削減に向けた更なる取組の検討
女性の活躍に影響を与える社会制度・慣行の見直し
(1)女性の就業調整等につながる可能性のある税制や社会保障制度等について、働きたい人が働きやすい中立的なものとなるよう、下記のとおり具体化・検討を進め、計画期間中のできるだけ早期に見直しを実施。
a.税制における個人所得課税の諸控除の在り方
 平成27年11月に政府税制調査会が取りまとめた論点整理等を踏まえ、国民的議論を進めつつ見直しを行う。
b.社会保障制度
 平成28年10月からの短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大を着実に実施するとともに、更なる被用者保険の適用拡大を進めていく中で第3号被保険者を縮小していく方向で検討を進める。
c.配偶者手当
 結果的に女性の就労を抑制している場合があるとの指摘があることに鑑み、官の見直しの検討と併せて、労使に対しその在り方の検討を促すことが重要であり、そのための環境を整備する。

 労働時間の問題は従来、時間外割増賃金の支給確保、そして過重労働による健康障害の防止という形で議論されていましたが、今後は女性活躍という観点からの議論が多くなりそうです。


参考リンク
内閣府男女共同参画局「第4次男女共同参画基本計画」
http://www.gender.go.jp/about_danjo/basic_plans/4th/index.html

(大津章敬)

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