運送業の8割強が労働基準関係法令違反

運送業 トラック、タクシーなどの自動車運転者は、依然として長時間労働となっており、脳・心臓疾患の労災認定件数がもっとも多い職種となっています。先日、この自動車運転者を使用する事業場に対する平成26年の監督指導、送検の状況が公表されたことから、この内容について取り上げましょう。

 今回、監督指導を行った事業場は3,907事業場で、そのうち、8割強(3,240事業場)で労働基準関係法令違反がありました。この主な違反をみてみると、労働時間が2,187事業場(56.0%)と半分を占め、割増賃金が951事業場(24.3%)、休日が252事業場(6.4%)と続いています。

 次に、改善基準告示違反が認められた事業場は全体の6割強(2,373事業場)で、トラックの主な違反をみてみると、最大拘束時間が1,517事業場(54.9%)、総拘束時間が1,198事業場(43.3%)、休息時間が1,188事業場(42.7%)となっています。

 トラック運転者に係る改善基準告示を確認してみると、1ヵ月の総拘束時間が原則293時間で、労使協定を締結した場合、320時間以内、1日の総拘束時間は13時間以内を基本とし、延長する場合であっても16時間以内となっています。今回、タクシー、バスなどに比べトラックにおいて違反の割合が多く見られます。人材不足や荷主からの要求など構造的な問題も多く存在しますが、自社において問題となるような実態がないかを点検し、問題があれば運行計画を変更したり、運転者を増員させるなどの取組が求められます。


参考リンク
厚生労働省「自動車運転者を使用する事業場に対する平成26年の監督指導、送検の状況を公表します」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000107511.html

(福間みゆき)

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