1963年以降の有効求人倍率をグラフ化して分かったこと

1963年以降の有効求人倍率をグラフ化して分かったこと 人手不足という相談を毎日のように受ける状況が続いていますが、過去の日本の労働の歴史において、現在の状況はどんな位置づけにあるのだろうかと興味を持ち、厚生労働省の一般職業紹介状況のデータを調べてみました。今年1月の有効求人倍率は、1.36倍となっていますが、この水準は過去の歴史を見ても、かなりの高水準にあることが分かります。

 グラフは統計が公開されている1963年以降の有効求人倍率の長期時系列データをグラフにしたもの。これを見ると過去最高は第一次オイルショック直前である1973年10月の2.31倍となっています。その1年少し前である1972年7月は1.09倍に止まっていましたので、ほんの1年で急速に人手不足になり、オイルショック後は1974年1月には1.29倍まで急落しています。このようにオイルショック前後では短期間に日本経済が激変したことが分かります。

 一方、バブル期はどうかと言えば、1990年9月および10月の1.58倍が最高になっています。バブル崩壊後については、オイルショックのときとは状況が異なり、じわじわと求人倍率が低下し、1992年以降、わが国の雇用は長期低迷期に入っています。年平均で見ると1993年から13年連続で1倍を割り込み、その後も2006年と2007年はなんとか1倍を超えるも、リーマンショックにより、2008年から6年間は1倍を割り込むことになります。このいわゆる「失われた20年」の間に、わが国の雇用は非正規化が進み、現在における様々な問題を生み出すことになるのです。

 さて、今後の雇用ですが、今年1月は1.36倍。過去2年で0.27ポイント伸びていることを考えれば、来年中にはバブルのピークを超える可能性は十分にあるでしょう。特に今回は労働力人口の減少という根本的問題が前提となっているだけに、その解消は容易ではありません。ロボットやAIなどの導入による省力化を進めると同時に、従業員が安心して長く勤めることができる会社作りをすることが企業経営における最重要課題となっています。


参考リンク
厚生労働省「一般職業紹介状況(平成28年1月分)について」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000113155.html
e-Stat「一般職業紹介状況 長期時系列データ」
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001146008

(大津章敬)

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