見えてきた「女性活躍加速のための重点方針2016」の内容と企業の人事労務管理への影響

女性活躍加速のための重点方針2016 最近のマスコミ報道を見ていると、一億総活躍社会というキーワードが頻繁に叫ばれていますが、その中でも女性活躍というテーマは非常にクローズアップされています。そんな中、内閣府では、現在、「女性活躍加速のための重点方針2016」の策定を行っていますが、その骨子が見えてきましたので、本日はご紹介したいと思います。

 今回の重点方針は「第4次男女共同参画基本計画」の策定と「女性活躍推進法」の本格施行後、初めてのものとなることから、男女共同参画基本計画で強調されている以下の事項を中心に、具体策が盛り込まれています。
長時間労働等の働き方や男性の家事・育児等への参画が進まない現状等の変革
更に踏み込んだポジティブ・アクションを通じた積極的な女性の採用・育成・登用の促進
ひとり親など生活上の困難に陥りやすい女性への対応や女性に対する暴力の根絶など、安全・安心な暮らしの実現

 具体的には、以下のような対策が検討されています。
(1)多様な働き方の推進、男性の暮らし方・意識の変革
・非正規雇用の女性の待遇改善(同一労働同一賃金の実現 等)
・長時間労働の削減、多様な働き方の推進(労働基準法等改正案の早期成立、法定労働条件の履行確保のための監督指導体制の充実強化、テレワークの抜本的拡大 等)
・公共調達を活用したWLB推進の加速(独法や地方公共団体への展開 等)
・男性の家事・育児・介護等への主体的参画の促進(男性の育児休業等を促進する企業へのインセンティブの拡充、家事負担の軽減や子育てしやすくなる商品・サービスの開発、国民的気運の醸成、更なる促進策についての総合的な検討 等)
(2)「指導的地位に女性が占める割合30%程度」の達成に向けた参画拡大・人材育成
・「まず隗より始めよ」の観点からの公務部門の取組加速(「女性職員登用加速化重点項目」の更なる推進、女性活躍を進める自治体への支援等の強化 等)
・将来指導的地位に就く女性の人材育成策の抜本的充実(管理職候補者となる女性を育成する企業へのインセンティブ拡充、女性のキャリア構築への支援、効果的な女性人材育成の在り方についての総合的な検討 等)
・農山漁村における女性リーダーの育成(農林水産業における女性経営者の経営発展の支援 等)
・男性経営者の女性活躍へのコミットメント拡大(「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」行動宣言の全国への波及 等)
(3)女性に対する暴力への対応
・性犯罪への対策の推進(法制審の答申が得られた場合は法改正を含む措置、ワンストップ支援センターの設置促進 等)
(4)女性活躍の視点に立った制度等の整備
・通称使用に係る課題等の調査検討
・税制、社会保障制度等の見直し(適用拡大の更なる検討、官民の配偶者手当の見直し促進 等)

 このように非正規雇用、労働時間、育児介護、女性管理職、税制・社会保障といった人事労務管理実務にも大きな影響を与える項目が並んでいます。現在検討されている労働基準法改正も、この視点から強いフォローの風を受けることになりますので、過重労働対策を中心に今度、積極的に議論がなされることでしょう。具体的には参議院選挙明けの動きにはなろうかと思いますが、選挙の結果によっては急速に社会が変わっていくことになるかも知れません。


参考リンク
内閣府男女共同参画局「男女共同参画会議(第48回)議事次第」
http://www.gender.go.jp/kaigi/danjo_kaigi/gijisidai/ka48-s.html

(大津章敬)

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