2016年8月8日から強化された自動車運転事業者法違反に関する国交省・厚労省の連携
厚生労働省は、自動車運転者の労働条件の確保・改善のため、改善基準告示等に重大な違反が認められた事案について、国土交通省と相互に通報し、必要な措置を講ずる相互通報制度を設けています。平成27年度の通報実績を見ると、運輸局等から労働基準監督機関への通報件数が364件、運輸局等における労働基準監督機関からの通報受理件数が786件となっています。
今回、自動車運転者について運行の中止を含む健康起因事故が増加傾向にあるなどの状況をふまえ、厚生労働省は、国土交通省との連携を強化し、自動車運転者の健康確保のため、労働安全衛生法に基づく健康診断を実施していないなどの違反が認められた事案についても相互に通報することとしました。
具体的な通報の方法としては、都道府県労働局長は、管下の基準監督署から結果等報告を取りまとめ、その都道府県労働局の所在地を管轄する地方運輸支局を経由して、関係地方運輸局長(沖縄総合事務局長を含む)あてに通報することになっています。一方、地方運輸機関からは関係地方運輸局長より当該事案を管轄する都道府県労働長あてに通報することになっています。通報事案については、以下の内容とされています。
労働基準監督機関から地方運輸への通報事案
臨検監督の結果、自動車運送事業者について道路運送法及び貨物自動車運送事業法の運行管理に関する規定に重大な違反の疑いがあと認められたもの。
地方運輸機関から労働基準監督機関への通報事案
監査の結果、 自動車運送事業者について労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、自動車運転者の労働時間等の改善のための基準 (平成元年2月9日労働省告示第7号)及び平成元年3月2日付け基発第93号「自動車運転者の労働時間等の改善ため基準について」記第3「労働時間等の取扱い及び賃金制度等に関する基準」ついて重大な違反の疑いがあると認められたもの。
厚生労働省では、国土交通省との連携を密に図りながら、問題があると考えられる事業場については監督指導を行うなど、自動車運転者の労働条件の確保・改善に取り組んでいくとしています。そのため、自動車運送事業者としては、問題となるような取扱いをしていないか点検し、改善しておくことが求められます。
参考リンク
厚生労働省「自動車運転者の健康確保のため国土交通省との連携を強化しました」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000132693.html
国土交通省「事業用自動車運転者の健康診断の受診について」
http://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha02_hh_000258.html
(福間みゆき)
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