来年度から3年間引き下げで検討が進む雇用保険料率

koho 年末に近づき、総務担当者は繁忙期を迎えているかと思います。まずは年内に処理をすべきことを確実に進めることが重要になりますが、そろそろ来年の社会保険料率の検討が進んできており、こちらの動向も押さえておきたいところです。

 社会保険のひとつ、雇用保険については、平成28年8月2日に閣議決定された「未来への投資を実現する経済対策」で「アベノミクスの成果等により、雇用情勢が安定的に推移していること等を踏まえ、雇用保険料や国庫負担の時限的な引下げ等について、必要な検討を経て、成案を得、平成29年度(2017年度)から実現する。」とされており、来年度の保険料率については、引き下げの方向で検討が進んできました。そして、先週末開催された第120回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会では、「雇用保険部会報告(素案)」が公開され、「雇用保険料率について」として以下のとおりまとめられています。

 「・・・その上で、平成27年部会報告にあるとおり、平成28年度より、基本となる失業等給付に係る保険料率について12/1,000に引き下げられているところである。一方で、引き続き雇用情勢の改善が進み、平成27年度末の積立金残高が6兆4,260億円となり、必要な水準の目安である弾力倍率2を大きく上回ることになっていることから、安定的な運営が維持されうると見込まれる3年間に限り、雇用保険料率を2/1,000引き下げ、労使の負担軽減を行うべきである。なお、積立金の水準については、予期せぬ雇用情勢の変動に備え、一定程度確保しておくことが必須である。今般の3年間限定の雇用保険料率引下げの結果、弾力倍率は2程度となることが見込まれており、過去の財政状況を鑑みれば、これを1つの目安として今後も考えていくべきものと考える。」

 今後、正式な報告書が公開され、動いていくことになりますが、来年度は既定路線どおり、引き下げの可能性が高くなっています。なお、育児休業給付については、労働政策審議会雇用均等分科会で育児休業の延長期間として最長2歳との案が示されたことに伴い、改正の可能性を示唆しています。

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関連blog記事
2016年11月24日「労政審で行われている「2歳まで育児休業延長」の議論」
https://roumu.com
/archives/52118444.html

参考リンク
厚生労働省「第120回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会資料」
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000144198.html
(宮武貴美)
http://blog.livedoor.jp/miyataketakami/

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