2017年1月より変更になった離職票の様式と特定受給資格者の範囲
雇用保険法改正により2017年1月1日から、これまで雇用保険の適用除外であった65歳以上の労働者も雇用保険の適用対象となるといった対応が行われました。これに合わせて、介護休業給付の分割取得が認められるといったいくつかの改正も施行されています。今回はその中でも離職票の様式変更と特定受給資格者の範囲の変更について確認しておきましょう。
離職票の様式変更
離職票には退職する理由を事業主がいくつかある選択肢から選んだ上で、具体的な理由を記載することになっています。今回、この選択肢の中に、「労働者の判断によるもの」として「妊娠、出産、育児休業、介護休業等に係る問題(休業等の申出拒否、妊娠、出産、休業等を理由とする不利益取扱い)があったと労働者が判断したため」が追加されました。退職する労働者からそのような理由での退職の申出があった場合には、こちらを選択して提出することになります。
特定受給資格者の範囲の変更
と同様、今回、いわゆるマタハラ(介護休業に関するものも含む)を受けたことにより退職した場合にも特定受給資格者に該当するということが追加されました。厚生労働省が発行しているリーフレットでは以下のような表現になっています。
「事業主が法令に違反し、妊娠中若しくは出産後の労働者又は子の養育若しくは家族の介護を行う労働者を就業させ、若しくはそれらの者の雇用の継続等を図るための制度の利用を不当に制限したこと又は妊娠したこと、出産したこと若しくはそれらの制度の利用の申出をし、若しくは利用をしたこと等を理由として不利益な取扱いをしたため離職した者」
また、これまでは賃金の不払いについて、2ヶ月以上続いた場合もしくは複数回あった場合に対象となっていたものが、1度でもあった場合には特定受給資格者に該当することになっています。
マタハラは会社が把握しない状況で、加害者の悪意なく行われていることもあり得るものです。マタハラの防止措置が義務化されたこともありますので、どのような行為がマタハラとなるのか、管理職を中心に意識を高めておく必要があります。
なお、変更された特定受給資格者の範囲が掲載されているリーフレットは既に公開されています。こちらを参照ください。
「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準(平成29年1月1日以降離職版)」
http://blog.livedoor.jp/leafletbank/archives/51455388.html
関連blog記事
2017年01月16日「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準(平成29年1月1日以降離職版)」
http://blog.livedoor.jp/leafletbank/archives/51455388.html
2016年9月12日「来年1月1日に施行される雇用保険特定受給資格者の範囲見直し」
https://roumu.com
/archives/52113271.html
参考リンク
厚生労働省「平成27年度の監督指導による賃金不払残業の是正結果を公表します」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000146857.html
(宮武貴美)
http://blog.livedoor.jp/miyataketakami/
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