長時間労働が疑われる事業場への監督指導 66.2%で法令違反ありという結果に
2016年12月28日のブログ記事「注目の「過労死等ゼロ」緊急対策 その全体像と注目ポイント」で取り上げたとおり、過労死・過重労働・長時間労働の対策は国を挙げて取り組むべき事項となっています。このような中、厚生労働省から長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導の結果について公表されましたので、今回はその内容を確認しておきましょう。
この調査結果は、平成28年4月から9月までに、長時間労働が疑われる事業所に対し、労働基準監督署が行った監督指導の実施結果が取りまとめられたものです。調査に際しては、対象が月100時間を超える残業が疑われる事業場から、月80時のを超える残業が疑われる事業場に監督指導対象が強化されていました。
今回、監督指導の実施事業場は10,059事業場であり、そのうち、6,659事業場(全体の66.2%)で労働基準法などの法令違反が見られたという結果になりました。その具体的な内容は以下のとおりです。
主な違反内容
監督指導の実施事業場のうち、法令違反があり、是正勧告書を交付した事業場(主なもの)は、以下のとおりでした。
①違法な時間外・休日労働があったもの:4,416事業場(43.9%)
②賃金不払残業があったもの:637事業場(6.3%)
③過重労働による健康障害防止措置が未実施のもの:1,043事業場(10.4%)
そして、①のうち、時間外・休日労働の実績が最も長い労働者の時間数が1ヶ月あたり80時間を超える事業場が3,450と是正勧告書が交付されたものの78.1%ありました。
主な健康障害防止に関する指導の状況
次に監督指導の実施事業場のうち、健康障害防止のため指導票を交付した事業場は、以下のとおりでした。
①過重労働による健康障害防止措置が不十分なため改善を指導したもの:8,683事業場(86.3%)
②労働時間の把握方法が不適正なため指導したもの:1,189事業場(11.8%)
厚生労働省は今後も、月80時間を超える残業が疑われる事業場などに対する監督指導の徹底をはじめ、長時間労働の是正に向けた取組を積極的に行うとしています。企業としても実態把握と継続的な長時間労働への是正の取り組みが求められています。
関連blog記事
2016年12月28日「注目の「過労死等ゼロ」緊急対策 その全体像と注目ポイント」
https://roumu.com
/archives/52120666.html
参考リンク
厚生労働省「長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果を公表します」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000148739.html
(宮武貴美)
http://blog.livedoor.jp/miyataketakami/
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