「2月以内に1回以上」でも可能となる見込みが出てきた産業医の職場巡視頻度

工場 平成27年12月から安全衛生法に基づくストレスチェック制度が導入され、メンタルヘルス対策や過重労働による健康障害防止対策の重要度が増してきている中、厚生労働省では、産業医制度の在り方に関する検討会が開催され、昨年末、その検討結果が報告書としてまとめられました。

 この報告書の中で、特に注目されるのは、以下の2点です。
産業医の職場巡視頻度
 産業医による職場巡視については、現行、「毎月1回以上」行うこととされているが、職場巡視とそれ以外の手段を組み合わせることも有効と考えられ、事業主から産業医に定期的(月に1回以上)に長時間労働者の労働時間数や衛生管理者の行った職場巡視の結果などが提供される場合には、事業主の同意を条件に、職場巡視を「毎月1回以上」から「2月以内ごとに1回以上」へ変更することを可能とすることが適当である。
異常所見者の就業上の措置に関する医師等からの意見聴取
 定期健康診断の有所見率が50%を超える昨今、異常所見者の就業上の措置に関する医師等からの意見聴取は産業医に期待される重要な職務である。なお、特に小規模事業場ではその実施が低調である。優先的に行うべき課題として、当該業務の充実や実施の徹底を図るとともに、健康診断と同様に事業規模に関わりなく義務付けられている長時間労働者に対する面接指導の業務の充実や実施の徹底を図り、小規模事業場における産業保健サービスの改善を図るべきである。

 どちらも長時間労働者の健康被害を防ぐ対策についてですが、産業医の数や業務時間が限られる中で、効率的に実行力を高める対策を打とうとしていることが伺えます。「異常所見者の就業上の措置に関する医師等からの意見聴取」については、最近の労働基準監督署の監督指導においても中小企業が軒並み指摘されているポイントです。漏れなく意見聴取を行うとともに、その結果をもとに異常所見者の健康状況の悪化に歯止めをかけておきたいところであります。


参考リンク
厚生労働省「産業医制度の在り方に関する検討会 報告書」
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000146365.html

(佐藤和之)

当社ホームページ「労務ドットコム」にもアクセスをお待ちしています。

facebook最新情報の速報は「労務ドットコムfacebookページ」にて提供しています。いますぐ「いいね!」」をクリック。
http://www.facebook.com/roumu

当ブログの記事の無断転載を固く禁じます。