労働時間の上限規制 経団連と連合の合意書が公表に

労働時間の上限規制 経団連と連合の合意書が公表に 労働時間の上限規制については、政府から経団連と連合の調整に委ねられ、先日(2017年3月13日)にその合意がなされました。経団連のホームページではその合意書の内容が公開されており、そのポイントは以下のとおりとなっています。
上限規制
 時間外労働の上限規制は、月45時間、年360時間とする。ただし、一時的な業務量の増加がやむを得ない特定の場合の上限については、
1.年間の時間外労働は月平均60時間(年720時間)以内とする
2.休日労働を含んで、2ヵ月ないし6ヵ月平均は80時間以内とする
3.休日労働を含んで、単月は100時間を基準値とする
4.月45時間を超える時間外労働は年半分を超えないこととする
以上を労働基準法に明記する。これらの上限規制は、罰則付きで実効性を担保する。

 さらに、現行省令で定める36協定の必須記載事項として、月45時間を超えて時間外労働した者に対する健康・福祉確保措置内容を追加するとともに、特別条項付36協定を締結する際の様式等を定める指針に時間外労働の削減に向けた労使の自主的な努力規定を盛り込む。
勤務間インターバル制度
 終業から始業までに一定時間の休息時間を設ける勤務間インターバル制度を労働時間等設定改善法および同指針に盛り込む。また、制度の普及促進に向けて、労使関係者を含む有識者検討会を立ち上げる。
過労死等を防止するための対策
 過労死等防止対策推進法に基づく大綱を見直す際、メンタルヘルス対策等の新たな政府目標を掲げることを検討する。職場のパワーハラスメント防止に向けて、労使関係者を交えた場で対策の検討を行う。
労働政策審議会における検討
 上限規制に関する詳細については、労働政策審議会で検討する。
検討規定
 法律施行5年経過時において、法律の施行状況や過労死等労災認定の状況、長時間労働の削減状況、企業活動への影響(特に中小・零細企業)などに基づき、労働時間法制のあり方全般について検討を行うこととし、その旨を労働基準法附則に記載する。

 このような合意がなされ、公表されるというのは極めて異例なことですが、これでこの問題は概ね決着したと見ることができるでしょう。今月中にも発表される働き方改革実現会議の行動計画にも盛り込まれることが予想されます。


参考リンク
日本経済団体連合会「時間外労働の上限規制等に関する労使合意」
http://www.keidanren.or.jp/policy/2017/018.html

(大津章敬)

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