働き方改革実行計画を受け、労政審で始まった「時間外労働の上限規制」の詳細議論
先日、働き方改革実行計画において、時間外労働の上限規制に関する大枠の基準が示されました。これを受け、2017年4月27日に労働政策審議会労働条件分科会において、その詳細な取扱いに関する議論が始まりました。
メディアなどで注目されたのは、新たな指針において、時間外労働だけでなく、休日労働についてもできる限り抑制するよう努力義務が明記される方針が示されたことでしたが、それ以外にもいくつかの論点が挙げられています。主なものは、以下のとおりです。
新たな指針に盛り込むべき事項
休日労働の抑制の努力義務以外に、以下のような事項を盛り込むかどうか。
・特例による延長時間をできる限り短くする努力義務
・特例に係る割増賃金率を法定基準を超える率とする努力義務
・特例の場合に実施する健康・福祉確保措置の内容の例示
・労働時間を延長する必要のある業務の区分を細分化すること
36協定で延長時間を定める対象期間
36協定で延長時間を定める対象期間は、現行制度では「1日」「1日を超え3か月以内の期間」「1年」とされていますが、今後は「1日」「1か月」「1年」と固定し、「2か月」や「3か月」といった選択ができないようにすることで、特別条項を用いずに月45時間を超えることができないようにするかどうか。
1年単位の変形労働時間制の上限時間
1年単位の変形労働時間を採用する場合には、現行の限度基準告示を踏襲し、原則の上限を月42時間、年320時間とするかどうか。また、月42時間を上回る特例の適用の上限を年6回とするかどうか。
適用除外
現行の限度基準告示で限度時間の適用が除外されている事業や業務のうち、働き方改革実行計画において言及されていないものの取扱いをどうするか。
○季節的要因等により事業活動若しくは業務量の変動が著しい事業又は業務
・鹿児島県及び沖縄県における砂糖製造業(砂糖精製業を除く。)
・造船事業における船舶の改造又は修繕に関する業務
・日本郵便株式会社の行う郵便事業の年末・年始における業務
○公益上の必要により集中的な作業が必要とされる業務
・電気事業における発電用原子炉及びその附属設備の定期検査並びにそれに伴う電気工作物の工事に関する業務
・ガス事業におけるガス製造設備の工事に関する業務
次回以降の会議では、健康確保措置の具体的な内容や勤務間インターバルなどのテーマについても議論がされていく見込みです。企業によっては大きな影響がある場合があるため、その動向に注目をしておきたいところです。
関連blog記事
2017年5月1日「厚生労働省 勤務間インターバルの就業規則規定例を公開」
https://roumu.com
/archives/52128497.html
2017年3月29日「働き方改革実現会議 大注目の「働き方改革実行計画(案)」を公開」
https://roumu.com
/archives/52126469.html
参考リンク
厚生労働省「第133回労働政策審議会労働条件分科会資料」
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000163728.html
(佐藤和之)
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