規制改革推進会議 平成32年度に向け、社会保険手続き電子化を徹底すると答申
2017年5月23日に内閣府で第18回規制改革推進会議が開催され、規制改革推進に関する第1次答申が示されました。非常に注目すべき内容が多く含まれていますが、以下では、「税・社会保険関係事務のIT化・ワンストップ化」というテーマの中から、社会保険関連手続の見直しについての記載について取り上げましょう。
社会保険関連手続の見直し①(オンライン申請利用率の大幅な改善)
【a:平成29年上期に工程表を策定、b:平成29年以降継続的に措置、c:平成29年度検討・結論】
企業が反復的・継続的に利用する社会保険・労働保険関係の手続において、オンライン申請の利用率は9.6%(平成27 年度)にとどまっている。この原因としては、もともと紙手続の場合に手数料負担を求めていないためオンライン申請のコスト面でのメリットが少ないと感じられていること、オンライン申請の認知度が低いこと、健康保険組合については独自のシステムや申請方法が構築されていること、ユーザビリティに問題があることなどが考えられるところ、デジタルファーストの原則に立ってオンライン申請利用率の大幅な改善を図る必要がある。したがって、以下の措置を講ずる。
a 従業員の社会保険・労働保険に係る諸手続における事業者の負担軽減のため、デジタルファースト原則に基づき、一定規模以上の事業所が日本年金機構に提出する算定基礎届等の電子的申請の義務化を始め、オンライン申請の利用率(平成27年度9.6%)の大幅な向上に向けて、平成32年度までに電子化を徹底するための工程表を策定し、実施する。
b 社会保険・労働保険関連手続が電子申請可能であることについて、企業への直接訪問やHP等を通じた周知広報を促進し、全ての年金事務所・ハローワーク等の申請窓口にリーフレットを設置するとともに、利用促進用の申請端末の重点的な設置や事業主向け説明会における電子申請のデモンストレーションを最大限実施し、窓口の職員から電子申請の利用を促すようデジタルファーストを徹底し、組織を挙げた利用勧奨を行う。
c 社会保険・労働保険関連機関における業務フローを可視化、電子申請の利用を前提とした最適化を行い、処理時間を短縮する方策について検討し、結論を得た上で、標準処理時間を設定する。
社会保険関連手続の見直し②(オンライン申請の活用による手続の見直し)
【a:平成29年度検討・結論、b:平成29 年措置、c:平成29年度検討・結論・措置、d:平成29年度検討・結論】
社会保険・労働保険関係の手続について、申請先機関が制度ごとに分かれており、同一又は類似した事項を各機関に別々に申請しなければならないこと等が、事業者にとって多大な負担となっている。かかる負担を削減するためには、手続・申請事項の削減・統合などを行った上で、オンライン申請の活用によるワンストップ化・ワンスオンリー化を軸とした手続の見直しを図る必要がある。したがって、以下の措置を講ずる。
a 従業員の入退社などに際し、厚生年金保険・健康保険・労働保険それぞれの法律に基づきそれぞれの様式でそれぞれの窓口への届出を求めている状況を改め、「同じ情報は一度だけしか求めない」ようにするための方策を検討し結論を得て、実施する。
b 外部連携API対応の労務管理等ソフトウェアについて、年数回程度であったソフトウェアベンダーとの協議について、開催頻度を上げて実施するとともに、受け付けた意見を踏まえて対応した結果を公表する。かかる意見を踏まえ、外部連携APIによる申請を普及促進し、ユーザビリティを向上させるための施策を実施する。
c 企業が従業員を代理し又は同意を得ていることを証するために付している従業員本人の押印・署名を省略することについて検討し、結論を得た上で措置する。
d 健康保険組合における事業者の申請手続の事務処理の把握を行い、申請元事業者の利便性を改善する方策について検討し、結論を得る。
このように、デジタルファースト原則に基づき、平成32年度までに電子化を徹底するための工程表を策定し、実施するとしています。今後、APIを活用した電子申請システムの普及と電子化が予想されます。新しい環境に適応しましょう。
参考リンク
内閣府「第18回規制改革推進会議」
http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/meeting/committee/20170523/agenda.html
(大津章敬)
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