再び増加に転じた労働トラブル件数 ハラスメントと自己都合退職に関するトラブルが急増

再び増加に転じた労働トラブル件数 リーマンショックの際に急増した労働トラブルですが、その後も発生件数は高止まりしながら、その内容が大きく変わってきています。そこで本日は厚生労働省が公表した「平成28年度個別労働紛争解決制度の施行状況」の内容から、最新に労働トラブルの状況について見ていくことにしましょう。
※個別労働紛争解決制度とは、個々の労働者と事業主との間の労働条件や職場環境などをめぐるトラブルを未然に防止し、早期に解決を図るための制度で、「総合労働相談」、労働局長による「助言・指導」、紛争調整委員会による「あっせん」の3つの方法があります。

 これによれば、平成28年度の総合労働相談件数は113,741件で、平成20年度以降、9年連続で100万件を超えています。更には平成21年度をピークに毎年減少基調にありましたが、平成27年度で微増した後、平成28年度では、約10万件の増加となっており、再び労働トラブルが注目を浴びる状況を迎えています。

 注目すべきはその内訳であり、件数が多い順で見ると以下のようになっています(その他、その他労働条件を除く。括弧内は平成21年度からの増減率)。
いじめ・嫌がらせ 70,917件(198%)
自己都合退職   40,364件(243%)
解雇         36,760件(53%)
労働条件の引下げ 27,723件(73%)
退職勧奨       21,901件(83%)
雇止め        12,472件(92%)
出向・配置転換   9,244件(94%)
雇用管理等     6,314件(163%)
募集・採用      3,162件(101%)
採用内定取消   1,961件(101%)

 グラフを見ても分かりますが、「いじめ・嫌がらせ」は年々増加しており、いまや労働トラブルの中でも圧倒的一番となっています。また今回の調査結果で注目したいのは「自己都合退職」が、労働トラブルの一丁目一番地と言われた解雇を上回ったことです。これは近年の深刻な人員不足により、退職を認めてくれないといったトラブルが増加していることによるようです。

 特にハラスメントについては、社内の方針の明確化や相談窓口の設置、研修の実施など積極的な対策を取り、社員が安心して仕事に集中できる環境を作っていくことが求められます。


参考リンク
厚生労働省「「平成28年度個別労働紛争解決制度の施行状況」を公表します」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000167727.html

(大津章敬)

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