精神障害にかかる労災支給決定件数は過去最多の498件

精神障害 昨年は第2の電通事件で、精神障害に関する労災認定が話題になりましたが、先日、厚生労働省は平成28年度の「過労死等の労災補償状況」を取りまとめました。以下では脳・心臓疾患、精神疾患の双方について状況を見てみましょう。
脳・心臓疾患に関する事案の労災補償状況
・請求件数は825件で、前年度比30件の増となった。
・支給決定件数は260件で前年度比9件の増となり、 うち死亡件数も前年度比11件増の107件であった。
・業種別(大分類)では、請求件数は「運輸業,郵便業」212件、「卸売業,小売業」106件、「製造業」101件の順で多く、支給決定件数は「運輸業,郵便業」97件、「製造業」41件、「卸売業,小売業」29件の順に多い。
・年齢別では、請求件数は「50~59歳」266件、「40~49歳」239件、「60歳以上」220件の順で多く、支給決定件数は「50~59歳」99件、「40~49歳」90件、「30~39歳」34件の順に多い。
・時間外労働時間別(1か月又は2~6か月における1か月平均)支給決定件数は、「80時間以上~100時間未満」106件で最も多く、「100時間以上」の合計件数は128件であった。
精神障害に関する事案の労災補償状況
・請求件数は1,586件で前年度比71件の増となり、うち未遂を含む自殺件数は前年度比1件減の198件であった。
・支給決定件数は498件で前年度比26件の増となり、うち未遂を含む自殺の件数は前年度比9件減の84件であった。
・業種別( 大分類)では、請求件数は 「医療,福祉」302件、「製造業」279件、「卸売業,小売業」220件の順に多く、支給決定件数は「製造業」91件、「医療,福祉」80件、「卸売業,小売業」57件の順に多い。
・年齢別では、請求件数は「40~49歳」542件、「30~39歳」408件、「50~59歳」295件、支給決定件数は「40~49歳」144件、「30~39歳」136件、「20~29歳」107件の順に多い。
・時間外労働時間別(1か月平均)支給決定件数は、「20時間未満」が84件で最も多く、「160時間以上」が52件であった。
・出来事別の支給決定件数は、「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」74件、「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」63件の順に多い。

 このように精神障害にかかる労災支給決定件数は過去最高を記録しました。多くの職場でハラスメントの問題が大きくなっていますが、効果的な対策が求められるところです。


参考リンク
厚生労働省「平成28年度「過労死等の労災補償状況」を公表」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000168672.html

(大津章敬)

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