労働環境とメンタルヘルス不調の関連性 残業代の支給も影響を与えている

メンタル メンタルヘルス不調者の問題はいまや多くの企業に共通する悩みとなっています。本日は、厚生労働省の平成28年度「過労死等に関する実態把握のための労働・社会面の調査研究事業報告書」の中から、メンタルヘルスの状況に影響を及ぼす事項について取り上げます。

 労働環境が「メンタルヘルスの状況」に及ぼす影響についてみると、「平均的な1週間当たりの残業時間」、「残業が最長の週の残業時間」、「ハラスメントの有無」、「職場環境に対する評価」などが有意に関連しています。たとえば、「平均的な1 週間当たりの残業時間」では、「0時間」の場合に比べて「10時間以上」の場合に、メンタルヘルスの状態が悪化する傾向が見られています。中でも、「残業が最長の週の残業時間」が30 時間以上の場合に、メンタルヘルスの状態が悪化する傾向が見られています。

 一方、「ハラスメントの有無」別では、『ハラスメントはない』場合に比べて、『ハラスメントを受けている』または『自分以外がハラスメントを受けている』場合において、メンタルヘルスの状態が悪化する傾向が見られています。

 「職場環境に対する評価」に関しては、「自分に与えられた仕事について、裁量を持って進めることができる」場合や「いまの職場やこの仕事にやりがいや誇りを感じている場合及び全体として、仕事の量と質は適当だと思う場合は、そうでない場合に比べてメンタルヘルスの状態が良好になる傾向が見られています。

 その他、「残業手当の支給の有無」、「把握されている労働時間の正確性」、「残業を行う場合の手続き」が有意に関連してているそうです。具体的には、「残業手当の支給の有無」では、残業手当が「支給されていない」者(サービス残業の者等含む。)に比べて、『全額支給されている』者の方が、メンタルヘルスの状態が良好になる傾向が見られています。

 このように考えると、職場環境の整備が重要な仕事であると考えられます。


参考リンク
厚生労働省「平成28年度「過労死等に関する実態把握のための労働・社会面の調査研究事業報告書」を公表します」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000174205.html

(大津章敬)

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