ワーク・ライフ・バランスの実現には、複数の取組みの組み合わせが重要
先日、厚生労働省より、「平成29年版労働経済の分析」(労働経済白書)」が公表されました。今回はこの中から、重要性が増しているワーク・ライフ・バランスの実現に向けた取組みについて紹介しましょう。
企業にとって、ワーク・ライフ・バランスの改善は、売上の減少に繋がるのではないかといった懸念が多くありますが、この労働経済白書で、ワーク・ライフ・バランスへの配慮を含む従業員の働きやすい環境づくりを実施している企業では、売上高の増加や従業員の確保・定着の促進といった企業経営にとってもプラスに影響している可能性があるとしています。
ワーク・ライフ・バランスの実現に向けて、企業としてどのような取組みが効果的であるか、所定外労働時間の削減と年次有給休暇の促進の観点からまとめ、ここでは、所定外労働時間の削減をとり上げます。
実際に所定外労働時間が短縮された(効果を実感している)企業の取組みでは、「実態(実際の労働時間等)の把握」、「長時間労働者たその上司等に対する注意喚起や助言」「仕事の内容・分担の見直し」を実施している割合が高くなっています。また、所定外労働時間が短縮された企業と変わらない企業で、取組み個数を比べると、短縮された企業の方がより多くの取組みをしているという結果になっています。
また、企業の考えだけでなく、実際に働く側として、長時間労働者が考える仕事の効率化に必要なものとしては、「組織間・従業員間の業務配分のムラをなくす」が一番多く、次に「人員数を増やす(業務量を減らす)」が続いています。
これらを踏まえ、より多くの取組みを実施することに併せ、労働者が所定外労働時間の削減に効果的だと思っている取組みも汲み入れることで、企業と労働者が一体となり、より効果が得られるのではないかと述べられています。その他の取組みとして、「短時間で質の高い仕事をすることを評価する」「担当者がいなくとも他の人が仕事を代替できる体制づくり」も挙げられています。
所定外労働時間の削減に向けて取組みをスタートさせている企業が増えていますが、取組みのバリエーションとして参考にできるのではないでしょうか。
参考リンク
厚生労働省「平成29年版 労働経済の分析」を公表します」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000179049.html
(福間みゆき)
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