2018年1月から変更となる従業員の募集を行う際の取扱い

職安法 有効求人倍率は1.52倍(2017年9月)とバブル絶頂期を超える水準で高止まりするなど、深刻な人材不足の状況となっています。人材確保を目指し、求人募集を行っている企業も多いと思いますが、求人募集に関しては2018年1月から改正職業安定法が施行され、その取扱いが変更されます。以下ではこの改正内容についてみておきましょう。
求人募集を行う際に最低限明示しなければならない労働条件等
 今回の改正により以下の3点が追加されます。
・試みの使用期間に関する事項(試用期間の有無、試用期間があるときはその期間)
・労働者を雇用しようとする者の氏名または名称に関する事項
・労働者を派遣労働者として雇用しようとする旨

 これに併せて、労働時間に関して、裁量労働制を適用する場合はその旨の明示が必要で、賃金に関して固定残業制を採用する場合、一定時間分の時間外労働、休日労働、深夜労働に対して定額で支払わる賃金の計算方法、具体的には労働時間数と金額、固定残業代を除外した基本給の額、固定残業時間を超える時間外労働、休日労働、深夜労働分について割増賃金を追加で支払う旨等を明示することになっています。
[記載例]
(1)基本給  ××円((2)の手当を除く額)
(2)□□手当  時間外の有無に関わらず、●時間分の時間外手当として▲▲円を支給
(3)●時間を超える時間外労働分についての割増賃金は追加で支給
 この固定残業代の記載については、既に若者募集・求人を行う際に求められていますが、来年1月からは若者に限らず、すべての求人募集を行う際に対応が必要になります。

募集主が労働条件等の変更等を行う際の注意点
 これは求職者と労働契約を締結しようとする際に、求人募集にあたって職業安定法第5条の3第1項により明示された従事すべき業務内容等を変更、特定、削除、追加する場合に、その求職者に対して変更、削除、追加する従事すべき業務の内容等を明示しなければならないとされています。

 具体的には、例えば、募集の段階で基本給20万円から25万円と明示しており、労働契約を締結する際に「20万円」に確定する場合が特定に該当します。この明示は、文書の交付または電子メールで行う必要があり、具体的な方法としては、求職者が変更内容等を十分に理解できるような方法をとる必要があり、以下のa)が望ましいとされていますが、b)などの方法も可能とされています。
a)当初の明示と変更された後の内容を対照できる書面を交付する方法
b)労働条件通知書において、変更された事項に下線を引いたり着色したりする方法や脚注を付ける方法

 労働条件通知書を交付する際、決定した労働条件を記載するだけでなく、変更内容等があればそれを理解できるように記載しておくことが、今後は求められることになります。本社だけでなく、各支店等で労働条件通知書を交付しているケースもあることから、まずは情報を共有しておきましょう。


参考リンク
厚生労働省「平成29年職業安定法の改正について」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000172497.html

(福間みゆき)

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