大手自動車メーカー10社全社が期間従業員の契約更新上限を設定

車 今年4月より労働契約法に基づく無期転換が本格化することに関心が高まっていますが、そのような中、厚生労働省から「いわゆる「期間従業員」の無期転換に関する調査」結果(平成29年12月)」が公開されました。これは、大手自動車メーカー10社に対して行った無期転換への対応状況に関する調査の結果を取りまとめたものであり、対象となる自動車メーカーの本社所在地の都道府県労働局職員が本社を訪問し、直接聞き取りった内容を取りまとめたものとなっています。その結果は以下のとおりとなっています。
期間従業員の有期労働契約について、更新上限を設けている企業
 更新上限を設けている企業は、10社中10社で(全社)であり、その上限期限を2年11ヶ月(または3年)としている企業が7社、その他の上限を設定している企業が3社。
期間従業員の再雇用について一定期間の無契約期間を設けている企業
 再雇用まで一定期間が必要とされている企業は、10社中7社であり、再応募が契約終了から6ヶ月未満の場合には再雇用しない運用としている企業が7社。残りの3社うち、再応募が契約終了から6ヶ月未満であっても再雇用している企業が2社であり、再雇用をしていない企業が1社。
一定期間の無契約期間が必要とされている理由
 一定期間が必要とされている7社のうち、その理由が、「労働契約法の改正前から一定期間を必要とする運用を行っていたが、労働契約法の改正によりクーリング期間が6ヶ月とされたことを踏まえて、一定期間を法の規定と合わせる運用とした」企業は、7社中5社。「労働契約法の改正を踏まえて、新たに一定期間が必要とする運用を行うこととした」企業が1社。無期転換ルールが創設される前から6ヶ月としていた企業が1社。
有期労働契約が終了し、一定期間経過後、再雇用の約束を設けている企業
 無契約期間を運用上設けている7社のうち、有期労働契約が終了し、6ヶ月を経過した後、再雇用を約束している企業は、7社中0社。
期間従業員を正社員転換する仕組みのを設けている企業
 期間従業員を正社員転換する仕組みを制度として設けている企業は、10社中7社。制度化しているわけではないが、正社員登用を行っている企業は、残りの3社中3社。

 この結果から、多くの自動車メーカーが無期転換による長期雇用に抵抗感を持っていることが見て取れます。厚生労働省では、「今回の調査は、無期転換ルールに関する企業の対応について外形的に把握したものであり、その限りでは、現時点で直ちに法に照らして問題であると判断できる事例は確認されませんでしたが、雇止めや就業規則の変更の有効性については、最終的には司法において判断されます」と示しており、労働契約法の趣旨を踏まえた対応ができるように周知や支援をしていくとしています。


参考リンク
厚生労働省「「いわゆる『期間従業員』の無期転換に関する調査」の結果を公表します」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000189946.html

(宮武貴美)
http://blog.livedoor.jp/miyataketakami/

当社ホームページ「労務ドットコム」にもアクセスをお待ちしています。

facebook最新情報の速報は「労務ドットコムfacebookページ」にて提供しています。いますぐ「いいね!」」をクリック。
http://www.facebook.com/roumu

当ブログの記事の無断転載を固く禁じます。