過労死等の防止のための対策に関する大綱(素案)に示された長時間労働の是正策
先日、厚生労働省は過労死等の防止のための対策に関する大綱(素案)を公表しました。今後様々な実務的な影響が出てくると予想される内容ですので、本日はこの中から、長時間労働の是正策について見ておきましょう。
今回、「(3)長時間労働の削減のための周知・啓発の実施」の中に、以下の下線部分が追加されました。注目すべきは、下線部分の2段落目で、労働時間の把握は、原則として使用者の現認またはタイムカードなどの客観的な記録を用いるよう指導することが盛り込まれています。
過重労働、賃金不払残業の疑いがある企業等に対しては、労働基準監督署の体制を整備しつつ監督指導等を徹底する。過労死等を発生させた事業場に対しては、当該疾病の原因の究明、再発防止対策の徹底を指導する。
特に、長時間労働を許さない取組として、平成29年1月に新たに策定した「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(以下「ガイドライン」という。)の周知・啓発、違法な長時間労働等が複数の事業場で認められた企業に対する指導・公表制度、36協定未締結事業場に対する監督指導について、取組の徹底を図る。
中でも、労働時間の把握については、原則として、使用者が自ら現認することにより、又はタイムカード、ICカード等の客観的な記録を基礎として労働者の始業・終業時刻を確認し、適正に記録することとされているガイドラインの措置について指導を行う。なお、白書においては、「労働時間を正確に把握すること」及び「残業手当を全額支給すること」が、「残業時間の減少」、「年次有給休暇の取得日数の増加」、「メンタルヘルスの状態の良好化」に資する旨の分析があることに留意する。
その他、過労死等防止対策の数値目標として、インターバル制度が挙げられており、インターバル制度の認知度や制度の導入企業割合などを数値目標として導入することや目標とする水準について議論し、大綱に盛り込むこととしています。
この過労死等の防止のための対策に関する大綱は、2014年11月に「過労死等防止対策推進法」が施行され、この法律に基づいて、過労死等の防止のための対策を効果的に推進するために2015年7月24日閣議決定し制定されました。3年をめどに見直すことになっており、今回が初の改定となることから、今後の動きに注目したいものです。
参考リンク
厚生労働省「第11回過労死等防止対策推進協議会 配布資料」
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000204334.html
(福間みゆき)
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